生産管理コラム 90回 「ユーザー企業」と「ベンダー企業」の低位安定とは?

■ 暗黙のうちに"ユーザー企業"と"ベンダー企業"を区別するレガシーマインド

IT業界に属しパッケージを販売している弊社は「ベンダー企業」と呼ばれ、生産管理を導入される製造業のお客様を「ユーザー企業」と呼び、通常、両者を区別して呼称しています。これに違和感を覚える方はあまりいないと思います。

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でも記載しました「DXレポート2」でも、「ベンダー企業の目指すべき方向性」「ユーザー企業のDX課題」など区別した内容が多く記述されていました。
このDXレポート2では「デジタル産業」と表現されていた内容があまり具体的ではなかったことから、経済産業省は2021年8月末日にDXレポート2.1を公表し、このデジタル産業について補足をしています。
具体的には、「デジタル変革後の産業や企業の姿」や「デジタル産業への変革を加速させるための政策の方向性」についての補足です。

今回はこのレポートの内容そのものではなく、冒頭に記載されていた「ユーザー企業」と「ベンダー企業」についてです。
それは、
『そもそも「ユーザー企業とベンダー企業の共創の推進」という言葉自体、暗黙のうちに"ユーザー企業"と"ベンダー企業"という区別が残存するというレガシーマインドに縛られたものである』
という部分です。
通常、違和感なく使っている2つの区別をレガシーマインド(端的には「古い考え」)と述べておりとても気になりました。なぜ、古い考えなのでしょうか?
その理由が以下のようにあげられていました、
『ユーザー企業とベンダー企業の垣根がなくなっていく姿が産業の将来像であるとしたとき、こうした産業の創出を遠い未来のこととしたうえで、「ユーザー企業とベンダー企業の共創」を議論していては、双方が変革の足枷となる相互依存関係を脱することはできないという考えに至った。』
つまり、
製造業のお客様(ユーザー企業)と弊社等(ベンダー企業)とは発注と受託という相互依存関係において、この関係そのものが変革を阻害しているというものです。

通常、DXが進んでいない製造業の特に中堅中小のお客様では「生産管理システム(IT)は費用である」よって「ITベンダー企業を競争させ委託する事で費用を低減させたい」と思われている企業が多いと思います。 
もちろん「安かろう悪かろう」ではなく、「安く良いもの」が前提であり、RFP(提案依頼書)などで要件を示し、品質を担保しようとされています。

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一方、弊社等ベンダー企業も、リスクを考慮しパッケージのライセンス代やSEの導入支援費用をフィーとして受託できれば安定した収入となります。
つまりWinWinの関係となります。
この関係をDXレポート2.1では「低位安定」つまり低いレベルでの相互依存関係であり、変革の足枷であると言っているわけです。

ユーザー企業にとっての足枷の理由は、
1.ITをベンダー企業任せにすることで IT対応能力が育たない

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2.IT対応能力不足により IT システムがブラックボックス化し、また、ベンダーロックインにより経営のアジリティが低下する
とあります。
自社でシステムを開発したり導入するリソースがそもそも不足しているため、ベンダーへ依頼するわけですが、「完全に任せる事」や「自社で管理できない事」が問題と言っているようです。
ベンダーロックインはそのベンダーしか内容が判らず、ベンダーを変えるコストが膨大になる事です。
ベンダーロックインはベンダー企業側の論理では、優位性であり、差別化でもあるので、耳が痛い話でもあります。
経営のアジリティが低下するとは、機微に変化に対応する事ができず、ユーザー企業の顧客へ迅速な価値提供ができないない事を意味します。

ベンダー企業にとっての足枷の理由は、
1.労働量に対する値付けを行うことで、低リスクのビジネスを実現。その一方で 利益水準が低くなり、多重下請け構造を含め、売上総量の確保が必要
2.売上総量の確保が必要であるため、労働量が下がるような生産性を向上させるインセンティブが働かず、同時に、低利益率のため技術開発投資が困難
3.技術開発投資が困難であるため、新たな能力が獲得できず、"デジタル"の提案ができない
などが挙げられています。
ソフトウェア開発やSEの「人工ビジネス問題」(1人月幾らという工数単価で商売を行う事)が背景にあると思います。

この低位安定の関係が継続することでユーザー企業とベンダー企業がともにデジタル時代において必要な能力を獲得できない危機的な状態に陥ってしまう。
そのため、両者がこの構造を認識して、デジタル競争の敗者にならないように、自ら脱する方策を検討すべきであるとレポートしています。

両者にとって大きな課題は人材育成です。
技術が陳腐化するスピードが速く、時間をかけて学んだとしても、習得したときには古い技術となっているかもしれません。
即座に新技術を獲得できる優秀な人材の確保は容易ではありません。
受託型ビジネスを現業とするベンダー企業にとっては、ユーザー企業のデジタル変革を伴走支援する企業へと変革する必要があります。
そうすると、ユーザー企業が内製化への移行し受託型ビジネスと比べて売上規模が縮小してしまいます。
ユーザー企業をデジタル企業へ移行する支援を行うことにより、最終的には自分たちが不要になってしまう課題が出てきます。

生産管理パッケージ導入におけるSE支援作業も、単なる人月作業ではなく、顧客価値向上に応じたサービスに変革させ、ユーザー企業のDXに寄与できる方法へ向かわなければいけません。 

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そして、近い将来、ユーザー企業やベンダー企業と区別されない「高位な伴走企業」になる必要があると感じました。


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