生産管理システム構築におけるRFP(提案依頼書)の注意すべきポイントとは?ベンダー視点で解説

●生産管理システム構築におけるRFP(提案依頼書)の構成要素

「提案依頼書」は、製造業の生産管理システムあれば、それを導入、検討する場合、ベンダー側に見積もりを依頼する書類です。RFPは、業種や依頼内容によりその記載内容に違いがあるものの、購入、導入したい「仕様」「条件」を記載するものですが、弊社も下記のような「様々なRFP」を受領します。

・生産管理部門の方が、エクセル4~5枚に導入したい現場の運用を簡潔にまとめたもの。
・情報システム部門の方が、PowerPoint2~30枚に既存のシステム課題や改善内容を分析し、要件を記載されたもの。
・コンサル会社など外部の専門業者へ依頼し、経営課題から業務課題、新旧の業務フローや機能要件一覧等、3~5部構成で、数百ページになるもの。

各社それぞれの要件、範囲、規模、事情に応じ作成され、提示されます。いずれも、費用に含まれる「機能」や「サービス」が変動的で想定できない場合や、条件、利用範囲で費用が変動する場合など、企業間の取引で齟齬がないように利用されます。

RFPに記載する項目に定義はありませんが、生産管理システムであれば、およそ以下のような項目について記載されています。

【オーソドックスなRFPの例】

 1.システム化の背景
 2.導入の目的
 3.解決したい課題や現状の問題
 4.範囲(スコープ)
 5.要件(必要な機能)
 6.希望納期(スケジュール)

今回はこれらをベンダー側(当社側)からみた感想や留意頂きたい点などを述べたいと思います。

なお、システム系RFPのサンプルは、「ITコーディネータ協会」のホームページでサンプルをダウンロードできますので、これから作成を検討されている方は参照下さい。


●RFPを作る時に留意すべき6つのポイントとは?

1.システム化の背景

一番多いのは、「既存システムの老朽化」です。
もちろん「老朽化」はシステム更新の最大の背景だと思います。 ただ、製造業では顧客や需要など外部環境の変化や自社製造品の変遷などによる既存システムの不適合もあるはずです。
このあたりの記載があると、私達は理解が深まります。

2.導入の目的

一番多いのは、「〇〇の削減」や「効率化」です。
この場合、現状(AsIs)が不明瞭で、その目的達成の「伸びしろ」が判らない場合が多々あります。つまり、依頼企業にとってこれらは、現状に比べ、半分以下に削減したいのか、ゼロにしたいのか?
5%の効率化なのか、30%の効率化なのかです。 その「差」は提案、見積もりに影響します。

3.解決したい課題や現状の問題

ここは、問題と課題が混在しているRFPが多いです。
本コラム 第2回「問題と課題 使い分けていますか?」
に記載しましたが、これらを区別していただくと、提案する側は理解が深まります。

4.範囲(スコープ)

範囲が不明瞭なRFPがあります。
特に最近のRFPでは、従来のビックバン導入(一括導入)から、既存システム連携(レガシー連携)なども多くその連携が必要か不要か?どのようなレガシーシステムか不明瞭なものが多く困る事があります。
また、範囲は明確ながら、「深さ」が判断できない場合もあります。特に多い「〇〇の自動化」には悩まされます。
「自動化」の深さを推し量りきれない場合、質問を出し確認しています。

5.要件(必要な機能)

先のコンサル会社などで分析された場合、多くがこの機能要件一覧として提示されます。
多い時には3~400件ほどの必要機能が提示され、それを短期間で返答を記載するには多大な工数がかかり悩ましい事になります。これらは、見積時、選定時の大事な項目です。私達も、これらを提案システムが実現できるのか、アドオンが必要なのか、両者互いの「情報の非対称性」を解消するために労力をかけます。

これらの解消行動は、文字や文章にしてやり取りし、記録としてその結果を残す意味で、必要悪的なものでしょうが、もっと別の解消方法がないのかいつも考えさせられます。つまり、互いの解消コストの合計が過剰になっていないかです。
もっと、私達は、事前にパッケージの機能や制限を理解頂き、工場側の既存業務や運用を理解できていれば、この互いのこのコストを削減できるのではと思います。

6.希望納期(スケジュール)

 スケジュールは依頼側の社内事情やベンダー側の標準日程とのマッチングになります。
社内事情の方が長いと、ベンダ―側のコストが増える傾向で、ベンダー側の方が長いと、依頼側の負担が増えるトレードオフの関係になると思います。 互いの事情をマッチングさせる方法が良いのでは考えます。


いかがでしょうか?
RFPの行間を読み切れず、後から「そう意味でしたか!」となり、反省する事も多々あります。 提案する側も依頼者の意向をしっかりと読み解く努力は継続していかなければと思います。 最後に、ずいぶん以前はこれらRFPに加え、「工場見学」という大事な行事がセットで行われていました。最近少なくなってきたのはどうしてでしょうか?
「現場」+「RFP」が個人的には一番良いと思うのですが...


生産管理資料ダウンロード

生産管理力_無料診断


初めての方へ

初めてR-PiCSの生産管理システムを検討されるお客様へ
安心してお選びできるコンテンツをご紹介します。

選ばれる理由

日本国内の製造現場の実情に精通し、20年間、現場の声を拾い上げて改良を重ねました。
導入実績は600以上。豊富なノウハウをもとにあなたの悩みを解決します。

稼動後も安心のサポート体制

開発元である、JBアドバンスト・テクノロジーでは、R-PiCS専門のヘルプデスクを開設しています。
お問合せに対して迅速丁寧に回答し、多くのお客様やパートナー企業様にご評価をいただいています。

R-PiCS セミナー情報

個別相談も対応いたします

お気軽にご相談ください