「経営デザインシート」とは?製造業のビジネスモデルを模索するフレームワークをご紹介

事業や会社をどう再デザインするか?

コロナ禍を経験し、新たなビジネスモデルを模索されている製造業の方も多くいらっしゃると思います。 

今回はその「デザイン」の思考フレームワークをご紹介します。

これまで、本コラムでは事業の変革等製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)について、色々ご紹介してきました。
第62回ではDXの基本的な考え方

第65回ではその背景である経産省の「2025年の崖」レポートをご紹介しました。

また、関連記事では

第47回のモノからコトへのシフトの考え方

第60回ではサービス化戦略の必要性について解説しました。

経営環境の不可実性が高まる中、
第74回では自ら変革する力であるダイナミック・ケイパビリティ(競争優位な有形無形の資源)についてご紹介
しました。

一方、製造業は既存の有形資源に縛られ、大きく変革する事が難しい業種です。
ですから、「いろいろな用語や考え方は参考になるが、実際考えるのは難しい」と言う意見も多く聞かれます。
今回は、そのような考えを整理する「経営デザインシート」というフレームワークのご紹介です。

経営デザインシートについて(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/index.html

このフレームワークは、業務を整理し思考し記載する1枚の枠組み(用紙)です。
これは、内閣府 知的財産戦略推進事務局が主管で検討、作成されました。

経営デザインシート(事業も可)は、将来を構想するための思考補助ツールであり、環境変化を見据えて、自社や事業の「これまで」の理解に基づき「これから」を構想します。どちらか言うと、少し長期のビジョンになりますので、製造業など短期での変化が難しい場合に適しているのではと思います。

環境の変化に対する新たな考え方を、「無形の資産」「顧客の価値」の視点から整理します。

ここでの無形の資産には、知的財産以外に企業文化や経営理念やビジョンも含まれますし、技術やノウハウもあれば、顧客の評判や取引先との信頼等も該当します。

その中身を簡単にご紹介します。



フォーマットは大きく、(A)~(D)の4つの箱(欄)で構成されます。


(A)は、自社や事業の存在意義を意識し、企業理念や事業のコンセプトを記載します。
自社や事業の目的や特長でも構いませんし、一番大切なことや実現したい事でも良いです。

(B)は、現在(これまで)どのようにビジネスをしてきたかのメカニズムです。
「切削加工に優秀な工員が顧客要求以上の品質で加工し短期に納品する」等でも良いです。
価値を生み出すしくみですから、前述の無形の資産である取引先との信頼関係や顧客の評判なども含まれます。
人や物やノウハウ(有形や無形)を入力(インプット)して価値を出力(アウトプット)するイメージです。

(C) は、このシートでもっとも重要な今後(これから)の価値を構想し記載します。
ここは簡単ではありませんので、社内でのディスカッションが必要です。
ポイントは、(B)のインプットとアウトプットの「向き」を逆に考える事です。
つまり、結果である「顧客への価値」を想定し、そのための「ビジネスモデル」を考え、
そのためには「人や物やノウハウ」はどう必要か?と言う順番です。
これを「バックキャスト」と呼びます。逆に辿った「人や物やノウハウ」はもしかしたら、社内だけでは不足し、
別途調達する必要があるかもしれません。
また、(A)で書いた目的や特長、存在意義も考慮する必要があります。

(D) は(B)の現在と(C)の今後とのギャップです。
製造業が大きく変革をする場合、ギャップが大きいと実現性がありません。
今できる移行戦略を考えます。
(C)の今後が大きな変革が必要な場合、(A)の現在と「非連続」になりがちです。
場合により(C)の今後(これから)を変更する必要が出てくるかもしれません。
ですから、(D)と(C)は行ったり来たりする可能性があります。

このように「経営デザインシート」は、一番大切な事や実現したい事を踏まえ、これからの顧客価値を構想しバックキャストします。
そして、出来る事とのギャップを埋めることで、シンプルながら思考を整理しやすいものになっています。

記載欄が限られていますので制限があり、大事な事しか書けません。
しかし、1枚で俯瞰でき、時間軸を意識でき、想いが整理できるメリットがあります。
もちろん大事な点は、「経営デザインシート」は、単に空欄を埋めるツールではなく、社内ディスカッションや思考を補助するツールあるという事です。

このシートの活用は様々です。

・経営者の思いや考えを見える化し、シートにより従業員と共有を図る事ができます。
・事業承継では後継者への橋渡しの明文化した資料にもなり、スムーズな移行がしやすくなります。
・財務的な裏付けは余り重要視されていませんが、金融機関へ自社の状況や顧客価値提供を説明する場合にも利用できます。

もちろん、アフターコロナにおける、新たなビジネスモデルの検討に役に立つのではと思います。

ご興味がある方は以下のサイトにフォームの利用方法や活用例などがありますので参考にして下さい。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/keiei_design/index.html


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