製番管理とは?MRPとの違い・メリット・デメリットについて解説

製番管理とは?MRPとの違い・メリット・デメリットについて解説

顧客の求める製品を作り、安定した提供と利益、さらなる新しい付加価値を生み出すためには生産管理に力を入れる必要があります。
生産管理とは需要のある製品を「必要な時期に、必要な量を、決定した原価で、品質を保ち生産する」ことです。ただ生産形態はさまざまなので、工場運営では生産管理を行うことが大切です。例えば、大量生産製品と個別少量製品では、その納期や量や原価がおのずと違ってくるため、同じ方法での管理は難しくなります。

今回は、生産管理手法の一つである「製番管理」について解説します。MRP方式との違いや製番管理のメリット・デメリットなどについてご紹介するので、ぜひご覧ください。

目次



製番管理とは

10_3_1.png

製番管理個別受注に対し、生産計画、部品の発注・在庫管理、出庫・工数の把握・集計、半製品の管理、原価計算などの全ての作業を管理番号(製番)で管理する生産管理方法です。

製番管理では、受注ごとに製番を付与するので各工程が紐づき、部品、材料、加工の工程、在庫にも同じ製番が付与されるため需要と供給の管理がしやすくなります。

これにより、「このA製番のこの部品はA製番の製品の部品だな」「これはB製番の材料だから、B製番の工程で使うものだな」というように、把握・確認が容易になるわけです。

なお、製番管理は「個別受注生産(多品種少量生産)」に有効な生産管理手法です。



MRPとの違い

10_3_2.png

製番管理と比較されるものに「MRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)」があります。


製番管理は受注ごとに製番をつけて当該製品の生産を個別管理する、いわば「製品中心の管理」です。それに対して、MRPは品目番号単位で総量管理を行い、必要なものを必要なときに必要な量だけ準備できるよう資材調達を最適化しています。
こちらはいわば「部品中心の管理」を行います。
MRPについては、下記にて詳しく解説しています。ぜひ、合わせてご覧ください。

MRPとは?メリットや注意点、自社に合った生産管理手法の選び方を紹介!



製番管理の3種類の方法

製番管理には3種類の方法があり、種類ごとに適用範囲などが異なります。
種類ごとの特徴は、下記のとおりです。

製番管理方式

一つ目は「製番管理方式」です。こちらは最も典型的な製番管理の方法で
BOM(Bill of Material:部品構成表)にある末端の品目も含めて一つの製番で管理します。
製品ごとに独立した様式で管理する個別受注生産にて使用されるケースがほとんどですが、量産品であっても日本から海外生産拠点へ供給される重要な部品に関しては、生産時期ごとにロット番号を付与して製番のように扱うこともあります。
生産時期ごとの番号付与により需要と供給が把握しやすくなり、在庫管理の簡素化に役立っています。

製番管理方式+MRP方式で管理する方法

二つ目は「製番管理方式」と「MRP方式」を併用して管理する方法です。
個別受注生産の末端品目の中には個別管理ではなく、まとめ買いをしたり他の製番と共有したりとMRP方式も織り交ぜて管理するほうがスムーズなものもあります。
例えば、ボルトやナットといった汎用性の高い部材がこれにあてはまります。
汎用性の高い末端部材をMRP方式でまとめて購入・管理し、実際の組み立て時に受注別に製番管理を行うことで、資材調達と製品の需要・供給の把握がしやすくなるのです。


製番管理方式とMRP方式を別々で管理する方法

三つ目は、製番管理方式とMRP方式を"別々で管理"する方法です。
一般向けと同一製品であっても、業務用として使用される製品や官公庁(国や地方自治体の役所)にて使用する製品に関しては、製造方法を明確化するよう求められるケースがあります。そのため、資材の調達や在庫、生産工程などを細かく管理できるように、同一製品を製番管理とMRP方式で別々に管理することもあるのです。


製番管理は受注の進捗を見える化できる

10_3_3.png

こちらでは、製番管理のメリットを3つご紹介します。

進捗管理が簡単

製番ごとに製品に必要な材料や部品、やるべき工程が決められているため、資材調達や作業の進捗管理がしやすいです。また、進捗管理を行うことで自然と在庫の把握も行えるため、一から在庫管理の仕組みを構築する必要はありません。加えて、原価計算も製番ごとに積算すれば良いため、原価集計にかかる時間も短縮できます。

在庫を持たなくて良い

製番管理は受注生産や個別受注生産に適用されます。そのため、製品在庫を持たなくても良いのです。倉庫などの在庫保管場所を確保する必要はなく、むしろ保管場所にかかる予算を削減できます。また部品在庫に関しても、製造単位で部品を発注・使用するため、部品在庫の管理がし易くなります。

納期や設計の変更を柔軟にできる

個別受注生産では、急な納期変更や仕様変更、設計変更が起きることがあります。
しかし、製番管理を軸にデータ管理を行えば各部署への情報伝達がスムーズに行われるため、納期や設計などに変更が起きても柔軟に対応できます。


製番管理のデメリット

製番管理にはメリットがある一方で、下記のようなデメリットもあります。

部品の品切れ・過剰在庫の問題が起きやすい

製番管理では、一つひとつの製品ごとに番号を付与して管理します。小さな部品などの付随するもの全てに製番をつけるため、同じ部品が他の製品で使用されていても管理は別々です。もしも部品が足りないとなっても別で発注をかける必要があるため、部品の品切れ・過剰在庫の問題が起きることがあります。

リードタイム短縮に応えるのが難しい

顧客からの信頼を得るためには納期をきちんと守ることが大切ですが、製番管理ではリードタイム短縮に応えるのが難しいという側面があります。

リードタイムとは、全ての工程・作業が終わるまでにかかる所要時間のこと。発注から納品までの時間はもちろん、作業が始まるまでの待ち時間や検査、物流にかかる時間も含まれます。

しかし、顧客視点でいうリードタイムは「注文してから納品されるまでの時間」となるケースが多く、材料や部品を調達する時間や生産にかかる時間は考慮されないこともあります。いかに調達・生産にかかるリードタイムを短縮するかが重要になりますが、部品によっては調達までに多くの期間を要することもあるでしょう。そのため、工程分析を行う、工場の生産能力を高める、事務処理にかかる時間を短縮するなど、システムの導入も検討しながら対策を行う必要があります。



R-PiCS V4はハイブリット生産方式で短納期の生産計画と適正在庫管理が可能

JBアドバンスト・テクノロジーが提供する「R-PiCS(アールピックス)」は、個別受注生産からリピート生産(繰り返し生産)まで、多様な生産形態に対応した生産管理システムです。

製番管理を得意としており、受注生産と計画生産の併用運用も可能。製番管理品をまとめて発注できる他、過去の部品履歴も簡単に検索できます。また、先行手配(ブレイクポイント)機能があるため、BOMに記載された製品に対して先行手配を行えば、部品を一つずつ発注しなくても部品調達が容易に行えます。短納期の生産計画も行えるため、リードタイム短縮もクリアできます。


まとめ

製造業において、製品に適した生産管理を構築するのは生産効率を高めるためにも重要です。製番管理にはメリットだけでなくデメリットもあるため、MRP方式と併用したりシステムを導入したりして、不測の事態に対応できるように対策を講じましょう。

幅広い生産方法に対応するシステムを探している方は、ぜひJBアドバンスト・テクノロジーにご相談ください。「R-PiCS V4」について、また在庫管理の最適化については下記に詳しくまとめています。そちらも合わせてご覧になってみてください。

R-PiCS|在庫管理運用(V4/Ex)
製造業では避けられない"在庫管理"を最適化する方法とは?


<文責>

JBATマーケティング 編集部

お気軽にご相談ください