製造業では避けられない"在庫管理"を最適化する方法とは?

製造業で重要となるのが在庫管理の最適化です。

しかし、現在自社が抱えている在庫管理における課題点が何なのか、
どのように管理に取り組んでいけばいいのかが分からず、頭を悩ませている人も少なくないでしょう。

この記事では、在庫管理のそもそもの意味やその重要性から、製造業における在庫管理のプロセスと抱えている課題を確認し、
在庫管理業務を最適化するための方法をご紹介します。



目次


そもそも在庫管理とは?

在庫管理は製造業の経営にとって重要な要素だと漠然と分かってはいるものの、そもそも在庫管理とはどんなことを指すのか、はっきりとは知らないという人もいるかもしれません。

はじめに製造業における「在庫」の意味と、在庫管理の役割について見ていきましょう。

在庫とは

在庫には、大きく分けて2種類の意味があります。

1つは「販売のために仕入れた商品・製品《*1⦆で、まだ現金化されていないもの」という意味、
もう1つは「製品の生産のために仕入れた部品・原材料で、まだ製品化されていないもの」という意味
です。

前者は、主に小売業や卸業の扱う在庫であり、衣服や、日用雑貨などの、仕入れたらそのままの形で顧客に買われるのを待っている商品・製品のことです。
後者は、主に製造業の扱う在庫であり、部品・原材料の段階から、最終的な完成品までの製造工程が進むにつれて種類が増えたり、減ったりしていく特徴があります。

どちらの場合でも、在庫は企業の事業に直接関係している、「販売して現金化されることを目的とした棚卸資産」であるというのがポイントです。

《*1》商品は「仕入販売品」、製品は「製造品」のことを指します。

在庫管理とは

在庫管理とは、自社で保管している在庫の数量や場所を管理、維持することです。

在庫は多すぎても、少なすぎても困るものであり、いかに過不足なく在庫を確保し、
効率的に顧客に販売できるかが企業の売上に直結することになります。

また、資金繰りやキャッシュフローに大きく影響するため、在庫管理は正確に行われる必要があります。

例えば、売りさばけないほどに多くの原材料や部品の在庫を抱えてしまったとすると、
これは現金化のできない物品を大量に保管したり、管理したりするコストが無駄にかかってしまいます。

また、材料によっては、時間の経過とともに劣化し、無駄になってしまうことや、廃棄するのにも費用がかかってしまうことも考えられます。

反対に、無駄な在庫を抱えないために仕入れを控え過ぎてしまうと、顧客からの注文に対してすぐに応えられなくなってしまいます。これでは売上が得られなくなるだけでなく、顧客満足度が下がってしまい、次の契約の機会が失われてしまう恐れさえあります。

必要な量の在庫を、必要なときにすぐに供給できるように過不足なく維持することで無駄なコストを減らし、
機会損失を防いで売上につなげていく、これこそが在庫管理の目的なのです。



製造業で管理される在庫の種類

先ほども述べたように、製造業における在庫は製造工程の中で、「部品・原材料」に始まり、「仕掛品」を経て、「完成品」へと変わります。

以下、それぞれの在庫について詳しく見ていきましょう。

部品・原材料(素材)

部品・原材料とは、外部業者から仕入れて、素材として製品を作るのに用いられる在庫です。
鉄材や樹脂材などの加工しなければ使えない「原材料」の在庫と、ねじやナットなどのすぐに使える1つの製品である「部品」の在庫があります。

部品・原材料を発注してから納品されるまでの時間(日数)を「調達リードタイム」や、「発注リードタイム」と呼びます。
発注リードタイムに合わせて必要な量を調達することになります。つまり、必要以上の在庫はリスクになり得ます。

仕掛品

原材料と部品を加工したり、組み立てたりして最終的な製品を生産する過程で作られる、製造途中で販売できる状態にない在庫のことを「仕掛品」と呼びます。

例えば、小麦粉という原材料を使用して作られたものの、まだ焼かれていないパンの生地が該当します。

また、中間的な生産物として、製品自体は完成されているが、販売できない状態の品物を「半製品」といいます。
例えば、ラベルが貼られていないコンビニオリジナルブランド商品などが挙げられます。

完成品(製品)

焼かれたパンや組み立てたノートパソコンのように、仕掛品を経て完成する、顧客に販売できる状態の在庫が「完成品(製品)」です。

完成品の在庫は、自社の工場の中だけに存在するのではなく、小売店に並んだり、客先に届けられたりするというのが材料や仕掛品との違いです。



製造業における在庫管理プロセス

製造業における在庫管理が、どのように行われるのか、そのプロセスを紹介します。

適正在庫数の設定

製造業において在庫は、多すぎれば無駄となってしまい、反対に少なすぎれば製品の欠品を起こしてしまいます。

そこで、まずは欠品を出さない最小限の在庫数である「適正在庫数」を設定する必要があります。

適正在庫数を導出して設定するための理論や考え方は多種多様にわたっていて、業種や企業ごとに向き不向きがあるため、一概にどれが正解であると言うことはできません。

しかし、いずれの場合も共通しているのは、適正在庫数を設定するためには、自社の売上高や、商品回転率、各リードタイムといった数字を正確に把握しておく必要があります。

在庫数の可視化

これまでに記録されている在庫数や、入出庫数の履歴のデータからグラフなどを作成し、アイテムごとの在庫数の推移を可視化することは、在庫管理を効率化するうえでとても役に立ちます。

在庫の動きを可視化しておけば、過剰在庫や欠品などの問題在庫を容易に見つけられるようになり、在庫計画の改善速度を上げることができます。また、可視化されたデータであれば、容易に部署間で共有できます。

例えば、製品の販売需要や、生産状況の変化を調達チームがスムーズに把握できれば、その変化に応じて現在最適な数の仕入れを行えるようになるでしょう。

いつ、どのくらい入荷し、出庫するのかなどを決めることが、在庫計画を可視化することになります。

在庫に応じたオペレーション

これまでに確認したように、その適正数には明確な答えがないということも、在庫管理を難しいものにしています。

在庫管理を最適化させるために必要となるのが、常に変動する製品需要や、部品・原材料の供給量までをも包括する、在庫全体の状況に応じたオペレーションです。
これは単なる現場の業務プロセスの改善ではなく、在庫とキャッシュの流れ全体を俯瞰した全社的なものでなければなりません。
それぞれの担当者に任せきりの現場レベルの取り組みでは、十分に課題を発見して解決することはできないからです。

例えば、在庫管理をアシストするツールを導入していたとしても、担当者が各々の在庫計画を立てるためだけに使用してしまっているとしましょう。
すると販売担当者は、機会損失を避けようとして、多めの在庫計画を立てます。生産担当者は、その在庫計画に余裕を持って応えられるように、より多くの在庫計画を立てます。
そして調達担当者も同様に、その在庫計画に応えるためにさらに多くの在庫を仕入れてしまいます。

このように過剰在庫は発生していくのです。

しかし、全体を見て適切な在庫管理が行えれば、このような事態を回避することができます。

全社的なオペレーションに役立つのが、部署間での共有が容易である可視化されたデータです。
データが可視化されて共有できていれば、販売、調達・生産、在庫の各セクションの状況を見比べることができるため、全体の評価やバランスの改善に繋がります。

在庫計画の無駄というものは、たとえ小さなものであっても、それが解決されずに放置されている間にどんどん積み重なって大きな無駄になってしまうという危険性があります。
スムーズな情報共有によって全体の問題を発見し、改善するスパンを短くすることが、無駄を減らす最善策になります。



製造業が抱える在庫管理の課題

業務を効率化するうえで解決しなければならない、製造業の在庫管理に特有の課題を2つ紹介します。

調達リードタイムの長期化

製造業の在庫管理を考えるうえで大切になるのが、作業に着手してから、すべての工程が完了するまでに要する時間リードタイムです。
その中でも、製品の生産に使用する原材料や部品を外部に発注してから、納品、検査が完了するまでの時間である調達リードタイムは、
素材をもとに物を作る製造業の在庫量にもっとも大きな影響を及ぼします

調達リードタイムはそのまま自社の納品リードタイムに直結しているため、調達リードタイムが長期化することは、自社納期が長くなり、販売ロスが多くなる可能性もあります。

過剰在庫によるキャッシュフローの悪化

在庫というのは現金化されるのを待っている資産です。つまり在庫は製品として売ることができなければいつまでも動かすことのできないお金ということです。

実際の現金の流れ、「キャッシュフロー」の管理は経営において非常に重要です。
500万円の自由に動かせる現金を持っているのと、500万円分の売ることしかできない棚卸資産を持っているのには大きな違いがあります。
当然ですが従業員の給料や、信用取引の債務金などを支払うには現金が必要です。

現金化できていない過剰在庫を抱えていると、キャッシュフローが悪化してしまいます。もしも販売数は減少傾向にあるのに、
ずっと同じ量の仕入れを続けているとしたら、それは必要なところに回せるお金をどんどん失っていっているのと同じです。



"製造業向け"在庫管理の最適化方法

製造業は、「素材を仕入れて、製品を生産する」という事業の性質のために、製造業特有の在庫管理における課題があることがお分かりいただけたでしょうか。

そんな製造業向けの課題を解決するための方法をご紹介します。

生産管理システムを導入する

製造業の在庫管理を最適化するために有効な方法は、生産管理システムを導入することです。

生産管理システムは、製造業における生産活動を効率化するために必要となる、販売・生産・調達計画や、在庫管理、進捗管理、品質管理などのファクターを統合して
管理することができるシステムです。

生産管理システム導入の大きなメリット

生産管理システムを導入して、異なるセクションのあらゆる情報をまとめて管理することで、在庫状況をすぐに確認することができます。
必要としている在庫の量や、必要としている場所、時間といった情報が把握できていれば、作りすぎ・仕入れすぎによる過剰在庫の無駄を
スピーディかつ効率的に削減することができるようになります。

また、生産管理システムにより可視化された様々な情報を一元的に扱えることで、全社的なオペレーションが可能になります。

表計算ソフトなどを用いて在庫データを管理・蓄積している場合、在庫ごとのデータや各セクションに対応するデータが一見して把握できるようになっておらず、
経営側が数値確認をする際、現場側が都度膨大なデータをまとめることになります。生産管理システムでデータ管理をすることで、情報を常に1つにまとめることができます。

そのため、現場側が何度も情報をまとめることがなく済み、工数削減につながります。
また、経営側としてはタイムリーな情報を確認することができるため、現状把握や経営判断にも役立ちます。



まとめ

材料から商品を作ることを生業とする製造業では、適切な在庫管理を当たり前に行う必要があります。
しかしそれは、適切に在庫管理を行うことで生産と在庫の無駄を無くすことさえできれば、経営状況を改善するチャンスがまだ多く残されているということでもあります。

在庫管理を最適化するうえで重要となるポイントは「データの可視化と共有」です。これをサポートしてくれる生産管理システムを導入することにより、
各セクションを超えた連携が容易になり、経営全体の課題の発見と解決も迅速なものになります。

自社の扱う製品の特性や、現在抱えている課題、導入目的に合った生産管理システムを導入することが、在庫管理を最適化するためにもっとも有効な方法です。

<文責>

JBATマーケティング 編集部

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