原価低減とは?成功させる方法・ポイント・原価低減に成功した事例の紹介

原原価低減とは?成功させる方法・ポイント・原価低減に成功した事例の紹介

「受注が増えているのに、利益が出ていない...」という課題はありませんか。特に近年では円安の進行や緊張する国際情勢により材料費や人件費、設備の価格等が高騰し、原価を低減させる重要性が高まっています。
そこで今回は、原価低減の概要や主な方法、注意点、成功させるポイントについて解説します。
また生産管理システム「R-PiCS」の導入により原価低減を成功させた事例もご紹介いたします。

目次




原価低減とは

原価低減とは、商品や製品・サービスを製造する過程で発生する費用を抑えることです。
原価低減の取り組みは、利益の拡大を目的として行われるケースが一般的です。利益を拡大するための方法として、原価低減の他に「販売数の増加」「販売単価の値上げ」などがあります。しかし、どちらも製造する側だけの判断で実施することが難しく、販売単価の値上げに関してはかえって売上が減り、利益の拡大につながらない可能性も考えられます。
その点、原価低減は製造する側がコントロールできる部分が多く、利益の拡大を図る上で着手しやすいといえます。
原価低減のポイントをご紹介する前に、まず原価とは何かを確認しておきましょう。
まず取引先に販売する価格は、次の要素に分解できます。

販売価格=利益+原価

さらに原価を分解すると、次のようになります。

原価=販売費+一般管理費(営業費)+製造原価

販売費、一般管理費は販売活動で発生するものであるのに対して、製造原価は生産活動で発生します。原価低減は、この製造原価を削減していく活動です。
製造原価は大きく3つの要素があります。

●材料費
製品に必要な原材料や材料を使うことで発生する原価です。
● 労務費
製造を担当する従業員の賃金や社会保険料など、労働力を使うことによって発生する原価です。
● 間接費・経費
設備や水道光熱費など、材料費と労務費以外で製造業務に間接的に発生する費用です。

原価を低減するには、この3つの要素についてかかる費用を減らしていく取り組みが必要です。




原価低減を成功させる方法とは

それでは「材料費」「労務費」「間接費・経費」をどのように削減していけばよいか、ポイントをご紹介します。

材料費を抑える

一般的に、製品を製造する際の材料費は原価の4〜6割を占めるといわれています。
そのため、「どの原料をどれくらい使っているのか」「原料をどこから仕入れているか」などを見直して材料費を抑えることができれば、原価低減につながると考えられます。



1.原料・費用の見直し

まずは、今現在使用している原料の種類・費用を見直しましょう。
その上で「同じ役割を果たす、より安価な原料はないか」を確認することで、見落としていた無駄に気付ける場合があります。

2.発注頻度の見直し

次に、原料の発注頻度を見直します。例えば、月に何度も発注している場合は1回あたりの発注量を増やしてみるのが一案です。そうすることで、価格交渉を有利に進められるケースもあります。
また、「1回あたりの発注量が指定の量を上回ると割引を受けられる」など、独自のサービスを展開している業者もあるので、発注量の増加は材料費を抑えることにつながるといえるでしょう。
ただし、価格交渉を有利に進められる・割引を受けられるというメリットに気を取られ、発注量を増やし過ぎてしまうと、過剰在庫を抱えてしまう可能性があるため注意が必要です。
在庫管理の費用が増えたり原料が劣化し使い物にならなくなったりして、かえって支出が増える恐れもあるため、必要以上に発注するのは避けましょう。

3.仕入先の見直し

原料の仕入先を見直すことも、材料費を抑える上で効果的です。
同じ原料をより安く提供している業者があればそこから仕入れることで材料費を抑えられ、結果として原価低減につながります。また仕入先を複数にすることで比較対象を作りムダなコストを発見するのもひとつの方法です。
ただし原料の価格だけで仕入先の見直しを行うのは望ましくありません。仮に「今の仕入先と信頼関係を築けている」「今の仕入先は納期の融通が利くので利用しやすい」という場合は、これらも加味して検討することが大切です。

4.設計の工夫

設計面からのアプローチで材料費を抑えることも可能です。製品の構造・形状や過剰な機能・品質、材質や加工方法を見直すなどして、現状の製品と同等の機能を保ちつつ原価を下げる方法が考えられます。コストと機能のバランスを取ることがポイントとなります。

労務費を抑える

労務費とは、製造作業に携わる社員に支払う給料、いわば人件費のことです。
労務費は、製造業務の無駄を排除し効率化することで削減できる場合があります。そのため、例えばルーティンとなっている業務に着目し、無駄がないかを確認するのがおすすめです。
他にも作業工程を見直すことで労務費を抑えられる場合もあります。「A→B→C」と進めるのではなく「A→C→B」と進めたほうが実は効率的で作業工数が少ない、というケースは珍しくありません。また2つの工程をひとつにまとめたり、治工具を工夫して作業負荷を減らしたりすることで、生産性が向上する場合もあります。プロセスを通して当たり前化している作業工程に改善を加えるのも一案と言えるでしょう。
そして、労務費の削減というと「給料の削減」や「リストラ」を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、容易にこれらを選択するのは望ましくありません。社員のモチベーションが下がって生産性が落ち、かえって労務費がかさむ可能性が考えられます。
企業は社員がいないと成り立たないため、社員を犠牲にするような方法はなるべく取らないようにしましょう。

間接費・経費を抑える

間接費・経費とは、水道代や電気代など、製造業務に間接的に関わっている費用のことです。
これを抑えることも原価低減につながります。

1.老朽化した設備を見直し

老朽化している設備は、無駄なエネルギーを発生させ必要以上に費用がかかるケースがほとんどです。
この場合、設備を新しいものに変更するだけで間接費・経費を抑えられることもあり、昨今は省エネ機能を搭載した機種も多いので、それを選べばより費用を削減できるでしょう。

2.リース料金を見直し

リースを利用している場合は、その料金を見直すのもおすすめです。場合によっては「同じ性能でありサービス面も似ているが、費用はこれまで利用していたリース品に比べて安価」というリース品が見つかることもあるため、こまめに情報収集を行うようにしましょう。


原価低減に取り組む際の注意点

原価低減に取り組む際は、何をどう低減するのか慎重に検討しなければなりません。次のような点に注意して進めていきましょう。

●商品・サービスの品質低下の恐れがないか
材料や仕入先を変えたことで品質が低下することがないよう十分注意する必要があります。売上が減ってしまうと、原価低減の目的である「利益の拡大」を果たせなくなってしまいます。

●従業員のモチベーション低下につながらないか
むやみに労務費を削減すると、従業員の理解を得られずモチベーションが低下し、生産性低下につながってしまいます。従業員の声に耳を傾け、費用を削減することだけに重きを置かず、ムダを省くことにも目を向けることが大切です。

● 原価低減の取り組みを特定の担当者に依存していないか
原価低減の取り組みが特定の担当者に依存していると、ムダなコストを見落とす恐れがあります。特に調達業務では、仕入先の検討を十分に行わず、担当者の勘や経験に従って仕入れを決定しているケースが少なくありません。取り組みの内容や進捗については関係者間で常に情報を共有する必要があります。

原価低減を成功させるポイント

原価低減を成功させるには、以下のポイントを押さえておく必要もあります。

●全社員へ周知し、継続的に取り組む

原価低減の効果は、全社員で継続的に取り組むことで大きくなります。そのため、何をどう低減するのかを決めたら、その内容を全社員に周知し企業全体で一丸となって取り組むことが大切です。製造プロセス、製品の設計、材料や部品などの調達といった企業活動全体を通して取り組みましょう。

●原価管理システムを導入

原価低減を成功させるには、原価を適切に管理することが大切です。しかし、管理作業は手間がかかる上に、専門的な知識・技術がないとうまく行えないこともあります。そこでおすすめしたいのが、原価管理システムの導入です。原価計算機能を搭載しているため、正確な原価のもと原価低減を進めることができます。
また、材料管理もできるため欠品や過剰在庫を未然に防ぎ、常に適正在庫を維持することが可能です。原価管理システムは、原価低減を成功させる上で心強いパートナーになるので、積極的に導入することをおすすめします。





生産管理システム「R-PiCS」で原価低減を実現!

原価管理システムのひとつとして、生産現場の声から生まれた国産生産管理システム「R-PiCS」をご紹介します。R-PiCSは、販売開始から30年以上の実績があり、製造業の幅広い業種に導入実績があります。
「R-PiCS NX」は、受注生産・見込生産の両方に対応し、幅広い生産形態に対応した生販一元管理を実現するシステムです。製造計画から購買・資材管理、製造管理、部品・仕掛在庫管理、原価計算と機能が揃っているため、生産管理全体を見える化し、非効率性やムダをなくすことで原価低減を実現できます。原価計算においては標準原価・実績原価・製番別実績原価の計算を簡単に行えます。材料費や労務費がどれほどなのか一目で確認できるため、現状を素早く把握でき、その上で原価低減の方法を考えることができます。
生産現場の声に耳を傾け、改良を重ねてきたシステムです。詳しく知りたい方は、下記のリンクもご覧ください。

原価管理(R-PiCS NX)
https://www.r-pics.com/lp/r-picsnx.html

「R-PiCS」導入にて原価低減を効率的に行った事例

最後に、「R-PiCS」の導入により原価低減に成功した事例をご紹介します。

●ジュジュ化粧品株式会社
ジュジュ化粧品株式会社様は、原価計算の工数に課題がありました。そこで「R-PiCS」を導入したところ、原価計算の工数を1時間から5分に短縮することに成功したのです。原価計算の効率化を実現したことで労務費を抑えられ、結果として原価低減につながりました。

ジュジュ化粧品株式会社様の導入事例はこちら

●インテグラン株式会社
インテグラン株式会社様は、伝票処理に手間や時間がかかっていたことを課題と捉えていました。そこで「R-PiCS」を導入したところ、情報の一元管理により時間がかかっていた伝票処理作業が効率化され、請求漏れや検収漏れが大幅に減少しました。各種管理作業の効率化を実現したことで労務費を抑えられ、結果として原価低減につながりました。


インテグラン株式会社様の導入事例はこちら




まとめ

利益の拡大を図りたい場合は、原価低減に取り組むのがおすすめです。今回ご紹介した方法や注意点、ポイントを踏まえて、できることから対応していきましょう。
原価低減の取り組みには、原価管理や原価計算についての知識や経験が不可欠です。JBCCでは積み重ねてきた経験をもとに専門的なコラムを作成し、製造業のお客様に広く情報提供を行っています。
お役立ちコラムでは、下記の原価管理の手順や適切な原価管理方法を解説しています。原価管理の基礎について学べるWeb動画へのリンクも記載していますので、参考にしてください。

[お役立ちコラム]
原価管理とは。目的から考える適切な管理手法を徹底解説!
https://www.r-pics.com/success/useful/cat1/_19625_cost_management_1vevalue_engineering.html

また、生産現場と会計部門で取り扱う原価の違いについては、下記にてわかりやすく解説しています。


[お役立ちコラム]
全部原価計算の罠とは?直接原価計算との違い
https://www.r-pics.com/success/column/pata-nn.html

「原価低減は一日にしてならず」。目標を定めて一歩ずつ進んでいきましょう。



原価管理(V4)
原価管理とは。目的から考える適切な管理手法を徹底解説!
全部原価計算の罠とは?直接原価計算との違い


<文責>

JBCC R-PiCS事業 編集部

お気軽にご相談ください