全部原価計算の罠とは?直接原価計算との違い

工場で原価計算を担当されている方や部門の利益管理を行っている方など、原価・利益の計算はいろいろ難しく、ご苦労されている方も多いのではないでしょうか?

工場現場では特に固定費や変動費を主とした計算で、
「製品毎に、変動費や固定費の変動が、利益にどのように影響し、それらをどう管理すれば、利益確保、拡大ができるか分析したい」
など、原価低減をテーマに集計・分析される場合が多いと思います。

一方、会社の経理部門では、
「企業会計基準に則り粛々と計算を行い、予算との差異を企業外部の利害関係者へ会計情報を提供する」
など、財務会計をテーマを集計・分析されていると思います。
これらは、前者を「直接原価計算」後者を「全部原価計算」といい、その目的や手段に少し違いがあります。

では、「全部原価計算の罠」というのはどういう意味でしょう?
後者の利害関係者へ情報を提供する事が「罠」なんでしょうか?
この「罠」は、財務会計と工場管理上の目的の違いにより、差異が出て、例えば「儲かっている」とか「沢山作った方が安い」など感違いしたり、錯覚する場合を言います。

では、どのような違いからこのような「罠」が発生するのでしょうか?

この2つの計算方法は、「固定製造費」を期間原価として扱うかどうか で違いが発生します。
全部原価計算においては当期に発生した固定製造原価の一部が、期末棚卸資産に配賦され、その額だけ、一般的には当期の売上原価が少なくなります。
つまり、すでに固定費として支払った費用でも、それは在庫品にも賦課されているので、売上原価に占める固定費は既に支払った費用の全部では無い。
だから、売上原価が少なく=利益が多く 見える・・となります。
よって、この情報だけでは「戦略的な意思決定には使えない」となります。

これに対し直接原価計算は、費用を変動費と固定費に別けて考え、固定製造費は当期の費用として計算を行います。
売上量と生産量が等しく、在庫に変動がなければ、直接原価計算の利益と全部原価計算の利益は同じになります。
ただし、在庫が増加すればするほど、全部原価計算の利益が多くなります。
つまり、大量生産して、在庫が増加すればするほど、全部原価上(利害関係者へ情報では)利益が多く見え、「黒字なのに、なぜ資金繰りが大変なんだ」となる場合があるのです。

工場管理においては、直接原価計算によるそのような「罠」に落ちらないように、または「罠」を悪用しないように管理していきたいものです。
なお、直接原価計算による外部向資料は認められておらず、全部原価計算が必要となります。


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