製造業が電子帳簿保存法(電帳法)の宥恕(ゆうじょ)期間に対応すべきことは?

2年間の宥恕(ゆうじょ)期間で対応すべきこととは?

 今年度も残すところ1か月余りとなりました。
あっと言う間に1年が過ぎようとしています。
コロナ禍で唯一と言ってよいほど進展したデジタル化。デジタル化はコロナ禍で加速し、年度末の決算などもクラウドサービス化した会計や経費精算で早期化する企業が増えています。スマホで確定申告ができるなど個人でもその利便性が向上しています。

 ペーパーレス化の流れは電子取引における電子帳簿保存法の改定へも影響を与えましたが、急な対応が現実的に難しい事も判明してきました。
2021年12月27日突然国税庁は、改正電帳法の制度認知が進まず、対応未完了の企業が多く存在したため、2年間の宥恕(ゆうじょ)措置を発表しました。
宥恕とは「寛大な心で罪を許すこと。(デジタル大辞泉)」とあります。
本来2022年度1月1日施行の改正法をその数日前に「2年間は寛大な心で許す」としたわけです。改正法をビジネスとして捉えていたSIベンダーやパッケージメーカ、社内の準備が進まないユーザーなどはびっくりしました。 電子取引における電帳法の準備が済んでいる会社は、そのまま改正法に則り業務を行えばよいだけですが、少し拍子抜けされたのでは無いでしょうか?

内容としては 「やむを得ない事情がある場合には、引き続きその出力書面による保存を可能」が条件であり、「この適用にあたり納税者から税務署長への手続などは要しない」 となっています。

当然、2年後の2024年1月1日からは電子取引のデータ保存が必須になり、それまでは準備期間と解釈しなければいけません。

 なお、電子帳簿保存法違反の場合、(厳密な運用は今後どうなるか不明ですが...) 青色申告の取消や改ざんなどの不正においては重加算税35%に10%加算の罰則規定が示されています。

 製造業における電子取引で主なものは、資材購買における「発注EDI」です。 もちろん受注に関連するEDIでの受領書類も電帳法の対象ですが、業務や伝票の「量」では発注の方が圧倒的に多いのが製造業の特徴です。 単なるメール添付の注文書も対象となります。「量」が多いのでやはり「仕組み」で効率化を図るべきです。 仕入先からの請求書も対象になります。 既に発注EDIを行っている製造業でも、請求書は紙で受領が多く、効率化の面では限定的です。 宥恕措置は、この受領請求書などを含む対象拡大対応の猶予が得られた...と解釈することもできます。

中小企業庁では、なかなか進展しない取引環境に関し、数年前から「中小企業共通EDI」を推奨し利用者の増加による生産性向上を推進しています。 受発注に留まらず、請求や支払いまでも標準化・規約化されています。 一方、政府主導の規約などは余り広がらない、という意見もあるようにコロナ禍前までの利用の広がりは鈍化傾向でした。 しかし、コロナ禍でのサプライチェーンの寸断やデジタル化の急速な変化は、電子取引への対応を余儀なくされています。

 ▶生産管理コラム 70回 ウイルスのサプライチェーンへの影響は?
  https://www.r-pics.com/success/column/_70.html

 ▶生産管理コラム 86回 製造業におけるレジリエンスとは?
  https://www.r-pics.com/success/column/_86.html

せっかく、宥恕による準備期間ができました。
このような仕組みを利用する事で、自社業務の効率化と法的対応を同時に図っていくべきかと思います。 なお、今後EDIでは必須の電子帳簿保存ですが、 この最新の中小企業共通EDI標準仕様書ver.3_r 0_20200 401の 6.3.EDI文書 保存サービス(2) 電子帳簿保存法に適合する保存サービス、によると

「共通EDIプロバイダは電子帳簿保存法に適合するEDI文書保存サービスを提供することができる。
 このサービス提供の有無を明示しなければならない。」

...となっており必須とはしていないようです。
他の手法での保存の可能性を残してあると推測されます。

関連する今後の外部環境では、
2024年1月、NTTが提供する発注などのサービスの一つであるISDN回線のデータ通信が廃止されることが決定。 まだ利用されている場合のその対応が必要です。 またその前の2023年10月には、請求書等のいわゆるインボイス制度も導入されます。

 ▶生産管理コラム 56回 仕入税額控除「インボイス制度」とは?
  https://www.r-pics.com/success/column/_56.html

ここ1~2年で対応しなければならない事が目白押しです。


生産管理資料ダウンロード

生産管理力_無料診断


初めての方へ

初めてR-PiCSの生産管理システムを検討されるお客様へ
安心してお選びできるコンテンツをご紹介します。

選ばれる理由

日本国内の製造現場の実情に精通し、20年間、現場の声を拾い上げて改良を重ねました。
導入実績は600以上。豊富なノウハウをもとにあなたの悩みを解決します。

稼動後も安心のサポート体制

開発元である、JBアドバンスト・テクノロジーでは、R-PiCS専門のヘルプデスクを開設しています。
お問合せに対して迅速丁寧に回答し、多くのお客様やパートナー企業様にご評価をいただいています。

R-PiCS セミナー情報

個別相談も対応いたします

お気軽にご相談ください