製造業における「レジリエンス」とは?

6月28日、Bloombergは、半導体大手の米インテルのCEOが、半導体不足が今年下半期に底打ちするとの見通しを示し、
『「半導体産業は23年まで健全な需給状態には戻らないとみている」 「さまざまな産業で、改善する前になお悪化すると思う」と述べた』と報じています。

最近、製造業のお客様へ生産管理システム再構築のお話で伺うと、半導体や電子部品の入手困難な話が良くでます。
また、半導体製造装置や関連部品の工場では、コロナ禍以前と比べて活況でお忙しい話をお聞きし、先のニュースを実感しています。
新型コロナがワクチン等の普及で収まりの兆しが見え始めている中、このような悪い影響や良い影響を受けている製造業があります。

今回のタイトル「レジリエンス」は5月28日に発行された2021年版ものづくり白書に記載されていたキーワードです。
レジリエンス(resilience)の意味を調べてみると、復元力、回復力、弾力とありました。 また、心理学的には、困難や脅威に直面している状況に対して、「うまく適応できる能力」「うまく適応していく過程」「適応した結果」というの意味でした。 製造業におけるレジリエンスは、コロナ禍におけるサプライチェーンの寸断に対する回復力や半導体不足による適用できる能力と言えます。

ものづくり白書が示した統計資料では、コロナ禍おける調達活動が影響を受けた要因は、

1)代替調達の効かない部材の存在  ...50.9%
2)海外調達への依存       ... 38.1%
3)過度な集中購買への依存     ...19.2%
4)アウトソーシングへの依存    ...7.2%

となっています。

これらに対し講じた対策は、

1)在庫調整           ...51.7% 
2)代替調達先の確保       ...31.9%
3)代替部材への切り替え    ...16.6%
4)内製・内作への切り替え   ... 15.1%

です。

汎用品でない特定メーカーの部品や自社向けの特殊な加工部品などでは、在庫を余分に持つなどの対策を講じたと読めます。
そう考えると、通常の生産管理システムの所要量計算(MRP)で、部品表などのマスターと現在庫量から、必要な発注量を算出しても、決められた期間(リードタイム)では調達できないことになります。

また、今回は調達できたとしても、次回はどうなるか不透明な状況となるわけですから、所要量計算で算出された量より多く発注し納期を確保し、在庫切れに対応する必要があります。 単なるシステムだけで自動調整できるものでもなく、自社の都合だけでは上手く調整できない可能性があります。

また、代替調達先や代替部品への切り替えも一朝一夕には難しく、短期の対策とは言い難いと思われます。
このようなことから、白書では実際、減産などの生産調整を余儀なくされた企業は37.6%あったとしています。


もちろん、生産管理システム上では、安全在庫登録機能、複数社購買登録機能、外注・内作切替機能、未来の受払照会機能 や所要シュミレーション機能はあるものの、サプライチェーン全体や調達先の都合をも含めた予想や発注は難しいと思います。

このように自社の事業継続計画(BCP)は対する課題意識は、自社単独だけでは限界があります。
今後、製造業におけるレジリエンスは、視野を広げ、取引先等複数事業者間の連携が必要になります。
供給側以外に需要側や価値の面、つまり、サプライチェーンやデマンドチェーン、バリューチェーンの「」の部分に着目し、常日頃から鎖を切らないよう、データ交換や情報交換など「つながり力」によるレジリエンスを養っておく必要があると感じます。


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