「インボイス制度」とは?新たに導入されるルールと注意すべきポイントを解説
2018年も残す所あとわずかになって来ました。
来年2019年の5月は元号改元、10月は消費税変更など、業務システムに関連すると思われる改正が予定されています。
業務システムはそのほとんどが西暦を採用しています。
しかし、「手形」に関しては日本の商習慣上、振出日や支払期日等の期日には和暦を使用しています。
そのため、改元後はその元号を記載する必要があり、システムの改修が必要な場合があります。
消費税は、ほとんどがマスター変更で可能かと思いますが、業態によっては軽減税率の対応により、取引先や商品毎に設定が可能かどうかの確認が必要です。
また、業態によらず、切り替わり後の返品処理などでは、その商品がどの消費税率が適用されたものかにより、その返品処理が適切に処理できるかどうか? を確認しておかないといけません。
また、2023年10月からは「適格請求書等保存方式」(インボイス制度)が導入されます。
特に、標準税率と軽減税率が混在する業態(B2C等)は注意が必要です。
なお暫定処理として2019年10月の消費税変更時から「区分記載請求書等保存方式」が導入されます。
これまでの「請求書等保存方式」は、仕入税額(仮払消費税)と売上税額(仮受消費税)の差を納税するためのエビデンス(証拠)として、請求書等を保存しておく方式でした。
「区分記載請求書等保存方式」は、これらに加え、税率が混在する場合、「※」印等を明記し税率ごとに区分して、合計した対価(税込み)を記載します。
2023年10月からのインボイス制度では、税率毎の取引総額を計算した上で、税率ごとに消費税を算出します。
この場合の端数処理は、1請求書当たり、税率ごとに1回ずつとなります。
つまり、明細毎の消費税計算による端数処理は不可となります。
仕入税額控除を受けるために新たに導入されるルールと言えます。
納税額のエビデンスとして、今後この適格請求書等の保存が必要で、この請求書には、適格請求書を発行した適格請求書発行事業者の登録コード(14桁)が記載されている事が要件となります。
登録を受けた製造販売業である貴社(売り手)は、得意先(買い手)から適格請求書を求められた場合、その交付と保存が義務付けられます。
得意先(買い手)は、この適格請求書の保存が仕入税額控除の要件となり、偽りの交付行為は罰則をうける事になります。
この事業者登録申請は、2021年10月より行う事ができます。
インボイスNo.が事業者コード+請求書No.とすると、国や地方では、保存されている売り手と買い手のインボイスNo.が判れば、その照合は直ぐに行う事ができるようになります。
正しい納税額管理のためのルールというわけです。
自社業務としては、請求書等の確認や保存等今まで以上に慎重にやらなければならない可能性が出てきます。
2019年10月の消費増税まであと9ヵ月余り、関連する業務やシステムの確認や準備を進めておく必要がありそうです。
今後、どの商品が軽減税率か? とか、制度・方式の変更などがあるかもしれませんので、最新情報は国税庁のホームページ等を確認して下さい。