ローカル5Gとは?製造業への活用方法をご紹介
新年あけましておめでとうございます。
昨年から続く米中、米朝関係が世界の景況感を左右したり、また新年早々、米国によるイラン司令官の殺害やその反撃等、中東地域の緊張が高まったりと、政治的・経済的混迷が増大しています。
世界的に不確実性が高まっていくなか、2020年、日本の製造業を取り巻く環境はどうなっていくのでしょうか?
先月のコラムに記載しましたように、国内の実質賃金が伸び悩む中、製造業関連の景気動向指数のうち、今後の景気を予測する先行指数である「実質機械受注」や、日銀の短観等、製造業を取り巻く「数値」はあまり良くありません。
一方、国内では2020年7月から開催される「東京オリンピック」までは、何とか景気は維持するのでは・・など「期待や希望」を含む意見も多数あるようです。
皆様の業界では如何でしょうか?
さて、そのような環境下、情報技術分野では、総務省を中心に、産業分野への利用が期待される「ローカル5Gの導入」についての検討がされており、昨年末12月にガイドラインが発表されました。
「5G」については、2019年3月
生産管理コラム 59回 「5G」で「ものづくり現場」は変わるのか?
でも記載をしました。
この時は、4G等の携帯電話の広域サービスが「5G」へ変わる場合の特徴や課題を記しました。
今回本コラムでお話するのは「ローカル5G」についてです。ローカル5Gとは、工場内などの個別ニーズに対し、その敷地内で柔軟に「5G」を構築できるインフラシステムです。
携帯事業者などのサービス範囲や内容とは関係なく構築ができ、その用途に応じた機能範囲等を柔軟に設定できます。
但し、これまで工場内で無線WiFiを使う場合は、認定を受けたルーター等を購入し、設置さえすれば使い始める事ができるました。しかしローカル5Gは無線局の免許が必要となります。
免許に基づくため、安定的に利用できるという見方もできますが、導入には一定のハードルがあります。
ローカル5Gの2020年国内需要額は62億円、10年後の2030年には200倍以上の1.3兆円と大幅に拡大するものと予想されています。
さて、5Gの大きな特性は、「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」の3つがあげらますが、免許を受けると工場内でどのように活用できるでしょうか?
生産設備を中心に考えると、まずその制御が対象となりそうです。
例えばケーブルで接続された操作盤とセンサーやモーターなど可動部分を、ローカル5Gであれば離れた場所からも接続できます。
つまり、工事やレイアウト変更に対し柔軟に対応できるメリットがあるわけです。
超高速性や超低遅延性が品質を担保してくれて、なおかつ多数同時接続がでできるからです。
また、工場の敷地内で建屋が複数ある場合など、建屋間ケーブル配線や漏洩が不安なWiFiに頼る必要がありません。
5G なら帯域を占有できるため、輻輳(ふくそう=混雑)や干渉の心配がありません。
現在オムロンでは、5GでAIと連携し、現場の作業者内容をリアルタイムのモニタリングし、AIがあたかもベテラン経験者のように作業に対する助言を行う実証実験を行っています。
また、
生産管理コラム 46回 「つながるサイバー工場研究分科会:CPPSとは?」
でも記述しましたように、C=サイバー空間とP=現実世界との連携における「デジタルツイン」がより現実的になります。
生産設備のデジタルデータと同じデータをサイバー空間にもつ(双子=ツイン)事で、特急の加工依頼や急な受注変更などに対し、シミュレーションなどを実行したり、時間軸を未来へ移動させ在庫の変化を確かめたりする事ができるようになります。
もちろん、これら5Gを採用する目的や投資効果を見極める必要があります。従来のWi-FiやLPWA(低消費電力広域)などの活用で十分な場合もあるからです。
年が明け、日本各地で恒例の成人式が行われました。
新成人は、物心ついた時からスマートフォンに慣れ親しみ、これまでの世代とは違った価値観や物の見方がある、所謂「デジタルネイティブ世代」が成人になるわけです。
「デジタルネイティブ世代」が考える製造業のイメージは、「デジタル技術が導入され、ビジネス・モデルの変化に迅速に追従できる状態」=DX(デジタルトランスフォーメーション)かもしれません。
もちろん、技能など職人(仮にアナログネイティブと呼ぶ)として、本来のモノづくりへ魅力を感じ、従事してくれる人も多数いるでしょう。
このような、アナログorデジタルネイティブ世代が、能力を発揮してもらい、活躍してもらう事は、2020年以降の製造業にとっても重要な事だと思います。
本年も本コラムどうぞ宜しくお願いいたします。