生産管理コラム 59回 「5G」で「ものづくり現場」は変わるのか?

中国のファーウェイ社が、米政府機関で同社製品の使用が禁止されているのは不当だとして、米政府を提訴したと報じられました。
米国は2018年8月に成立した国防権限法で、安全保障上の理由から米政府機関はファーウェイ社の製品を使うことを禁止しました。
その対抗措置として、ファーウェイ社は提訴を行ったようです。

ファーウェイ社は中国深センに本社を置く、従業員18万人の巨大通信機器メーカーであり、日本ではスマートフォン端末でよく知られている企業です。
アンドロイド端末では世界シェア2位の実績を誇ります。
特長的なのは、毎年売上高の10%以上を研究開発へ投資している点があげられ、第5世代(5G)移動通信システムの開発では世界的リーダー企業です。

安全性やセキュリティ性を原因としたこの問題も、今後普及が見込まれる「5G」技術の覇権争い等、各国間の思惑も背景にあるような印象をうけます。

さてこの「5G」技術、総務省では、日本におけるその経済効果を約47兆円と試算しています。
そのうち、製造業やオフィスのオペレーション効率化では、13.4兆円(約29%)の効果としています。

今後「5G」技術の普及は、ものづくり企業や現場にどのような影響を与えるのでしょうか?

5Gの大きな特性は、「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」の3つがあげらます。

「超高速」は、現行のLTEシステムと比較して100倍の伝送速度、1000倍の大容量化といった飛躍的な性能である事です。
例えば、現行のLTE方式でダウンロードに5分かかる2時間の映画が、5Gであれば3秒でダウンロードできる性能です。

「超低遅延」は、データ授受時間が非常に短く、遅れが非常が小さい事です。
通信のタイムラグは従来に比べ10分の1の1ミリ秒程度となるようです。
ですから、超低遅延によって、例えば、遠隔地にある医療機器等が、あたかも手元にあるように制御できるようになります。

「多数同時接続」は、一定範囲内に多数のデバイスが同時に接続できるということです。
NICTワイヤレスネットワーク総合研究センターでは、2018年3月、基地局一台につき、約2万台の端末が同時接続できる実証実験に成功しています。
同時に、LTE方式を用いた場合、100台程度の端末であっても一斉に接続を試みると接続できなくなる場合があることも確認されています。
ですから、今後Iotなど多数のデバイスを外部へ接続するなどに有効と思われます。

これらに加え、高信頼性や高セキュリティ性により、次世代の通信システムとして期待されているわけです。

前置きが長くなりましたが、今後、このような5G技術のものづくり企業や現場への活用は、工場から得意先や仕入先等、関係先への「即時」情報の授受に有効活用される事が期待されます。
つまり「サプライチェーン」や「デマンドチェーン」への利活用です。
具体例としては、CPPS(第46回 「つながるサイバー工場研究分科会:CPPSとは?」)があります。
ビックデータ処理技術を背景に、現実世界(フィジカル)と仮想空間(サイバー)を連携しながら、ものづくりが進むシステムです。

このCPPSコラムでは、以下のような事を書きました。(再掲)

『今後、個別受注生産の業態では、顧客の要望・仕様をより早く設計し、加工し、組み立てるため、工場は「モノファンクション化」していくとの予想です。
デザイン専門、プレス専門、塗装専門、など工場は単機能化していき、各工場(現実工場:フィジカル)がサイバー空間で情報の交換をしながら、個別仕様に対しより早い(生産性を上げた)ものづくり業態になる。というものです。
またそれらは、サイバー空間で自由にデータ量や時間軸を変化させ、シュミレーションができるため、より生産性を上げた(より早い)、仕組みが実現できるかどうか事前に判る。』

このような企業間連携において「5G」は有効的な通信システム、インフラとなる可能性は大きいと感じます。

一方現在は課題もあります。
基地局の数やデバイスそのものの価格、ランニングの通信費用です。
工場内同士の通信であれば、社内イントラを利用すれば、ランニングの通信費用はかかりません。
また、外部へ情報やデータを流出させない等、「5G」を活用するメリットは感じられません。

今後、これらインフラ面やコスト面が改善され利用しやすい環境となれば、工場内での利用も飛躍的に広がるかもしれません。

その場合、現場の情報とそれらの活用面からは、製造実行システム層 (第20回「MES 製造実行システムとは?)での利用が考えられます。
多数の機械設備の加工情報等の授受を生産性向上に活用できると思います。
高速で超低遅延で伝達する用途、つまり「5G」を設備間、基幹システム間の通信インフラとして利用するわけです。

今後、冒頭の覇権争いや各国間の思惑などを早期に解決し、新たな技術として、その早期普及を期待したいものです。


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