工程管理とは?なぜ重要視されるのか、実施するメリットや手順を紹介
工程管理とは?なぜ重要視されるのか、実施するメリットや手順を紹介
製造業において工程管理が重要視されています。工程管理はQCDの最適化を実現し、生産性を高める上でも無視できないものですが、「生産管理との違いがわからない」「導入することで具体的にどんなメリットがあるのか知りたい」という方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、工程管理の概要と生産管理との違い、工程管理が重要視されている理由、メリットなどについて解説します。工程管理システムについてもご紹介しているので、ぜひご覧ください。
目次
- 工程管理とは
- 工程管理がなぜ重要視されているのか
- 工程管理を実施することで得られるメリット
- 工程管理の手順
- 工程管理の方法とは
- 工程管理システムを導入するメリット
- R-PiCSが考える工程管理の課題を改善するポイント
- まとめ
工程管理とは
工程管理とは、生産計画を実行するために生産工程の進捗や労力、設備、原材料などを管理することです。「QCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)」の最適化を行い、プロジェクトの成功を目指します。工程管理の目的として、生産性向上、業務効率化、コスト削減、品質の担保などが挙げられます。
生産管理の枠組みは工程管理
生産管理とは生産業務全体を内包した管理業務であり、その中に工程管理も含まれます。
生産管理には製造だけでなく、資材調達や品質管理、出荷管理、在庫管理なども含まれます。
長期的な目線で管理体制を構築する生産管理とは異なり、工程管理は生産目標が達成できるか、進捗に遅れは出ていないかなど「製造」に重きを置いています。
日本における生産管理の枠組みは、工程管理が主流になっています。もちろん工程管理も重要ですが、生産管理という広い枠組みに目を向け、多角的な視点から現場や管理の仕組みを改善しなくてはなりません。生産計画に沿った製造の実現には、工程管理と生産管理のどちらも欠けてはいけないのです。
工程管理がなぜ重要視されているのか
工程管理が重要視されている理由は、主に下記の3つです。
他社との競争の激化
一つは、他社との競争が激化したことにあります。今の時代は日本国内だけでなく外国企業もライバルです。高品質の製品・サービスが次々に登場していることもあり、低コストで高品質の製品を納期の遅延なく納品することが、企業の生命線になっています。厳しい競争を生き抜くためには、工程管理の導入が不可欠なのです。
プロジェクトのあり方の変化
プロジェクトのあり方が変化したことも、工程管理の重要性を高める理由になっています。プロジェクトは大型化かつ複雑化しており、また近年では働き方改革やリモートワークの台頭により、これまでのやり方では対応できなくなっています。各製造拠点の動きや、会社に出社しない従業員の働きを把握したりする必要があり、その手段として工程管理が注目されているのです。
監視の強化
現代の企業は、顧客や投資家、株主といったステークホルダーの注目を浴びているため、あらゆる企業活動が見られていることを意識しなくてはなりません。クリーンなイメージを維持し、企業活動の透明化を行うためにも、工程管理の導入は急務といえるでしょう。
工程管理を実施することで得られるメリット
工程管理のメリットは、下記のとおりです。
納期の厳守
工程管理によって在庫や原材料・部品、人員などのリソースを把握しておけば、材料が足りないときや急な欠員が出たときも速やかに対応できるため、納期を厳守できます。
生産性向上
工程管理によって製造の進み具合を可視化・共有できれば、生産性の向上や最適化に向けてすぐに改善の一手を打てます。
コスト削減
製造工程の無駄を省くことで、製造原価などのコストを削減できます。また、原材料の種類や最適量を可視化できるため、在庫を抱えるリスクも軽減できるでしょう。そうなれば、在庫を保管するため倉庫代なども削減できるはずです。
品質の担保
製品ごとの品質に差があると、生産量が低下する可能性があります。不良品が大量に出てしまうとコストがかかる他、仮に市場に出てしまったらクライアントや消費者からの信頼を失ってしまうでしょう。しかし、工程管理をきちんと行うことで、生産量の増減・生産ラインの拡大などが起きても必要なリソースを確保できます。加えて、バッファ(余裕)を持って工程管理を行えるため、品質の担保が可能です。
工程管理の手順
生産計画の立案
まずは、生産計画の立案を行います。生産計画には大日程計画、中日程計画、小日程計画の3つがありますが、工程管理に大きく影響するのは中日程計画と小日程計画です。生産計画の立案には、製造業の知識や経験が必要になるため、適切な人員を配置し、無理のない範囲で計画を立てましょう。
実行
生産計画を立案したら、計画どおりに生産を進めます。各工程の進捗を観察し、課題点がないか、トラブルが発生していないかなどをチェックしましょう。細かく記録しておくと、次の見直し・改善策の立案に役立ちます。
なお、スケジュールに問題がなくても製品の品質に問題があるというケースもあります。スケジュールの進捗以外にも目を向けて、広い視点で問題点を探しましょう。
見直し・改善案の立案
次に実行した生産計画を見直し、改善策を考えます。各工程で浮き彫りになった課題を可視化し、全社的に共有することで、より良い改善策を立案できるでしょう。
ここで注意したいのが、そのままでも良い箇所まで改善しないことです。変更箇所を明確にし、そこを重点的に見直すことで、現状の課題に対して改善策が有効かを見極めることができます。
改善策の実施
計画の見直しと改善策の立案が完了したら、改善策を実施します。細かく評価をつけて、さらにPDCAを回すことで改善の精度が高まり、生産性向上や品質向上につながります。
工程管理の方法とは
工程管理の方法は、主に下記の3つがあります。
紙面
紙面で管理する方法は、「すぐに目視で確認できる」「ペンがあればすぐに修正できる」というメリットがあります。しかし、その場で情報を瞬時に更新できないため、「最新の進捗状況を把握しづらい」というデメリットもあります。
Excel
Excelでの工程管理は、管理する項目が多く、かつ予算の管理なども行う際に向いています。テンプレートがあるので、資料作成が苦手という方でもあまり時間をかけずに作成可能です。一部の作業を自動化できる他、ファイルを送ればすぐに情報を共有・編集できます。
ただし、間違って編集しないように権限を設定する必要があります。加えて、ファイルの持ち出しなどによる情報漏洩にも注意しなくてはなりません。
システムの導入
情報伝達を効率化するなら、工程管理に役立つシステムの導入がおすすめです。
統一されたフォーマットで管理できるので、入力時や確認の際に困ることがありません。
なお、工程管理システムは生産管理ができるシステムに組み込まれているケースが多くみられます。
工程管理システムを導入するメリット
システム導入による工程管理には、下記のようなメリットがあります。
紙面
工程を可視化できるため、進捗状況が把握しやすいです。また、現状の把握に努めれば、進捗が遅れている、作業に無駄があるといった課題に対し、具体的な改善策を提案できるようになるでしょう。
状況の共有
全工程を一元管理できるため、工場・拠点が複数ある、工程が細分化されているという場合でも状況の共有がスムーズです。企業全体の作業工程・生産情報を把握できるようになれば、経営判断にも役立つでしょう。
作業効率・品質の向上
効率の悪い作業を見つけて改善することで、無駄を省き、作業効率を高められます。また、作業工程を全社で共有できるため、生産性の差がなくなり、品質向上を目指せるでしょう。安定して品質の良いものを提供できれば、新たな顧客獲得のチャンスにもつながります。
R-PiCSが考える工程管理の課題を改善するポイント
生産管理や工程管理を行う際、人力で行うのは難しいため、システムの導入が望ましいといえます。
そもそも、生産には「組立生産(離散系)」「プロセス生産(連続系)」「組立生産+プロセス生産の混合」と種類があり、それぞれの生産方式によって生産管理の特性は変わります。
例えば、組立生産の場合だと製品・部品は1個、2個と数えられますが、プロセス生産ではバッチ製造なので1バッチ、2バッチと数えます。工程管理上では「個数・標準時間・出来高」で管理するか、「量・バッチ数・出来高」で管理するかの違いが発生するため、人力での生産管理では混乱をきたしてしまうでしょう。大規模な製造を行う現場では、なおさら状況把握が難しく、製造プロセスの最適化も進みません。
このことから、生産管理・工程管理の課題改善には自社の生産特性にあったシステム導入が有効といえます。
まとめ
工程管理は、製造工程の全てを管理する重要な作業です。生産管理とともに工程管理を導入することで、複雑化しやすい作業を可視化し、リアルタイムで状況を把握できるようになります。
ただし、人力での生産管理・工程管理は難しいため、生産管理・工程管理システムの導入を検討しましょう。
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R-PiCS V4|製品紹介
R-PiCSの機能詳細|工程管理(NX)
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<文責>
JBATマーケティング 編集部