製造業における「ニューノーマル」とは?
■新型コロナウイルスがもたらす「ニューノーマル」
依然、新型コロナウイルスによるビジネスへの影響が続いています。
この影響は直ぐには解消されず、「Afterコロナ」ではなく「Withコロナ」の考えが必要と言われています。
つまり、新型コロナウイルスへの対応を図りながら、ビジネスを元に戻し、維持や拡大を図らなくてはいけないという事です。
テレワークなどの新たな行動様式は、コロナ終息後無くなるわけではなく、今後ますます活用の幅が広がっていくと思います。
「ニューノーマル」は、このような行動様式の変化は「異常」ではなく「当然」「普通」=ノーマルと捉え、「これまでとは違う」「新たな」=ニューを加えたワードです。
ニューノーマルは、構造的な変化による「新たな常識・常態」を意味し、Withコロナの考え方同様、メディアでも紹介され始めています。
ニューノーマルは、新型コロナウイルスへの対応同様「制約」への対応と置き換えて考えれば、判り易くなると思います。
・会社に行けない制約
・客先へ訪問できない制約
・フェイスツーフェイスで会議ができない制約
等では、単なるテレワークではなく、
・多人数によるWeb会議やファイル共有、電子承認や電子印鑑
・WebセミナーやWeb見積や発注
など、これらは今後一般的になり「新たな常識・常態」になってくると思われます。
これら「制約」への対応は、先月の本コラムでも述べた「リスクヘッジ」つまり、一時的な不測の事態に備えるとは異なります。
そして、その「新たな」には、「IT(情報技術)」の利用が不可欠になってきます。
■製造業におけるニューノーマル
さて、製造業におけるニューノーマルはどうでしょうか?
真っ先に思い浮かぶのは、「デジタルツイン」です。
デジタルツインの考えは、第46回「つながるサーバー工場研究分科会:CPPSとは?」でも一部触れました。
デジタルツインは、現実(フィジカル)の情報を仮想(サイバー)へ2つの空間が時間差なく、リアルタイムに連動される仕組みです。
それらは例えば、
・製品の販売状況が予測ができない制約
・顧客ニーズの多様化が生産ラインで対応できない制約
・設計変更が生産にどう影響するか判断できない制約
・設備トラブルや人材不足が生産を止める制約
・製品在庫量が売上の低下を招く制約
等に対し、「時間や場所に関係なく、サイバー空間に対し指示やシミュレーションを行いながら必要に応じフィジカルへ連動させる」
という、製造業のニューノーマルな世界です。
それ以外に、製造業の組織面に注目すると、
・営業や設計が物理的に離れている制約
・生産管理部や技術部は常に情報共有が図れない制約
・製造部では、匠の技など技能承継を行う時間が無い制約
・購買部では取引先がグローバル化し時間や場所の関係なく対応しなくてはならない制約
なども考えられます。
これらは一時的なものではなく、常態化を想定した対応が必要になるかもしれません。
今後、自社の制約を想起し、ものづくりの「新たな業態」ニューノーマルも考えていく必要があると思います。