製造業における「つながる」とは?ドラマ「下町ロケット」から見る技術の進化

新年明けましておめでとうございます。

皆さま、新年はどのように過ごされましたでしょうか?
2019年々初のコラムは、新年に放送されたTVドラマ「下町ロケット」特別編から・・・
これは、年末に一旦終了したTVシリーズの、年越し完結編として放送されたものです。

製造業に関連した本コラムの読者や、「下町ロケット」ファンの方など、ご覧になった方も多かったのではないでしょうか。

「下町ロケット」はその名の通り、下町の中小製造業がロケット製造の大手企業を相手に、その部品開発や取引において、技術開発や特許戦略をテーマに中小製造業の苦悩を描いた、池井戸潤氏の企業エンタテイメント小説です。

原作の小説は、シリーズ化されTVドラマ化されておりますが、今冬オンエアされたシリーズは「農業」と「AI」をテーマに、中小製造業のアライアンスで生まれた自動運転の農機具に対し、大手製造業が開発した競合商品が機能・市場で評価され対決していく一連のストーリーです。

現実のものづくり現場や製造業では、「Iot」「つながる」「スマート」のキーワードを中心に、企業間連携の話題が尽きませんが、「農業」でも同様に「つながる」が現実に進展している事を、私自身もドラマを通してはじめて知りました。
ドラマの中では、台風が近づいているため、自動農機具を利用して早急な稲刈りが必要な状況下において、「農地データ」を異なる農機具メーカ間で変換して対応を図る場面あり、農家の「つながり」を映しだしていました。

これが工場に例えると、自社の設備不具合でものづくりが出来ない中、BOMデータや設備設定条件などを変換し、他工場で代替生産を図る場面に置き換えられると思います。

いろいろ調べてみますと、農業分野(アグリ分野)では、「農業データ連携基盤」=WAGRI(和・輪+アグリ)が設立され、農機具メーカや関連メーカ、ITメーカが多数参画し、会員になっています。
ホームページによるその設立趣旨は「農業の担い手が、データを使って生産性の向上や、経営の改善に挑戦できる環境をつくるために、データの連携や提供機能をもち、今後、生産現場での活用に加え、流通から消費まで連携を広げる」とあります。

基盤としては、①様々な農業ICT、農機やセンサー等のデータ連携、②各種データ共有、③土壌や気象、民間企業データなどの提供・・となっています。

先のドラマでは、手動でデータを変換していましたが、農地や地図データが共通の基盤上にあれば、もっと早くデータ変換(共有)が出来たかもしれません。(実際は技術的な問題ではなく、セキュリティ面が課題ようですが・・)

「WAGRI」はこれらのデータ「連携」や「共有」「提供」を、Web上のサービスとして用意、整備しています。
情報技術(IT)で言えば「WEB-API」です。
「気象API]「農地API」「地図API」「生育予測API」「土壌API」「統計API」「マスタAPI」などが挙げられてます。
また、データのアクセスを安全かつ容易にするために、「OPEN ID 認証」方式を採用し、利用者側の利便性を向上させています。

もちろん、データには公開可能なものからプライベートのものまでいろいろあります。
会員企業間ではAPIを有償・無償で提供できるようです。

46回 「つながるサイバー工場研究分科会:CPPSとは?」でも記述したように、サイバーフィジカルシステム(CPS)は、サーバー空間と現実世界が同様にコピーされ関連しながら業務が回っている世界。
アグリ分野では、このWAGRIプラットフォームを介し、擬似的な処理(たとえば、気象条件を変えてみて育成状況をシュミレーションする等)ができるCPS環境を目指しているようです。

このように、年初に見たTVドラマは未来でも仮想でも理想でもなく、現実にすでに実現できている話で、今なお進化していると思われます

逆に、我々の業界である製造業でも、小説化、ドラマ化までしなくとも、「製造業のICTが有意義に効率的に活用できている」そんな現実・事実をもっと発信していかなくては、と感じた次第です。

本年も本コラムどうぞ宜しくお願いいたします。


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