基幹システム更新におけるリスクはどう回避すべきか?

■リスク対策は「回避」することだけではない?

 基幹システム更新におけるリスクの考えは様々です。
リスクの語源は、ラテン語 risicareで「勇気を持って試みる」 だそうです。 ウィキペディアによると、「リスクとは、将来のいずれかの時において何か悪い事象が起こる可能性をいう。」とあります。

新システムの導入で、本来であれば期待に胸を膨らませるはずなのに、何か悪い事が起こらないだろうか?等、心配事が多いのではないでしょうか。
「業務が滞りなく回るのか?」「上手く使ってくれるか?」「データに不備は無いか?」「得意先や仕入先へ迷惑をかけないか?」...など書き出せばキリがありません。 このような心配事を回避するために、ユーザーはベンダーへRFPを提出し、機能要件が充足しているか?や、非機能要件で満足するパフォーマンスが出るか?等、予め確認を行います。

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また、プロジェクトが始まると、定期的な会議体や課題管理表で、体制図の上下左右に監視・管理を行い、ユーザーとベンダーが互いに心配事を払拭していきます。 但し、全ての心配事(リスク)を回避することはできませんし、現実的ではありません。 必ず、リスクは残ります(残存リスクと言います) そこで、リスクを分類し対応策を考えていく必要があります。
リスクの対応策は、「回避」、「転嫁」、「軽減」、「受容」に分類できます。
基幹システム更新に関わらず、普段生活をしていく中で、私たちはこの分類をし、対応をしていると思います。 個人の経験・経歴、環境や身上など様々なパラメータにより、一瞬でリスク対策を判断したり、他者に相談し決めたり、長く悩み対応できない場合もあります。 基幹システム更新は、利害関係者(ステークホルダー)が多いため、個人の考え方のみでは判断できない点に違いがあります。

プロジェクトにおける心配事の回避は、一般的にはリスクマネージメントというのプロセスで対応します。 リスクマネージメントのプロセスとは以下の手順です。

(1)リスクの発見及び特定
(2)リスクの算定
(3)リスクの評価
(4)リスク対策の選択
(5)リスク対策の実施
(6)残留リスクの評価
(7)リスクへの対応方針及び対策のモニタリングと是正
(8)リスクマネジメントの有効性評価と是正

(1)~(3)の基本的な考えは、リスクを「発生確率」と「影響度」で考え、(4)の対策を選択することになります。 「発生確率」と「影響度合」の2軸、マトリックス図をイメージすれば良いと思います。
発生確率は、システムや設備停止頻度、出荷停止発生回数...等 。
影響度は、コスト・損害額増大、品質低下、社会的信用低下...等です。

リスクを点数化するとすれば、 発生確率×影響度...となります。 一方、この分類をせず、全てのリスクを「回避」する方針でプロジェクトを進行すると、膨大な時間やシステムコストがかかり、本来の目的が達成できない場合があります

それぞれの対応策を見てみましょう。

【リスク回避】

発生確率が高く、影響度も高い場合です。
リスクを可能な限り取り除き、発生時の回避策を必ず講じる必要があります。 影響度は、製造業では、生産や出荷業務が停止するなどであり、リスク回避に該当します。

【リスク転嫁】  

発生確率が低くいが、影響度が高い場合です。
稀にしか発生しないが、発生すると業務停止する場合などです。 自然災害によるサーバー倒壊を考慮し、クラウドサービスを採用することが考えられます。 コスト面では保険をかけたりします。自社での対応を他へ転嫁する方針をたてます。

【リスク軽減】

発生確率は高く、影響度が低い場合です。
発生確率を低減させ影響を最小化します。現場での実績入力忘れや漏れが発生し、在庫・原価集計が遅延では、 登録ルールやチェック・アラート機能および事後的にも実績入力ができ、データの整合や集計できるように対策を講じます。

【リスク受容】

発生確率は低く、影響度も低い場合です。 あえて、何もしない方針または発生を受容しその場合の行動を定義します。 仮に発生した場合、事後的にリカバリーすれば、品質・コスト・時間などに問題が無い場合に採用します。

以上のように、タイトル「基幹システム更新におけるリスクはどう回避すべきか?」の応えは、「回避以外も考慮する」となります。 なお、ここではリスクを脅威としてマイナスのイメージで記載しましたが、プラスのリスクもあります。「製品需要が増大し、生産が追いつかない」リスクなどです。本来これらの対策も講じる必要があります。

前回のコラム冒頭に以下を記述しました。 「ITを利用した改革である「DX」が叫ばれる中、古い基幹システムや業務に部分最適化された現行システムを刷新することは大変な事です。 DXは現行通りの仕組みに作り替えることではなく、ITを最大限活用し革新的でなくてはいけません。」 革新にはリスクが伴いますが、回避以外の対策案も考慮し、「勇気をもって試みる」ことも重要だと思います。


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