製造業のDXはCXと違う考え方か?
■「CX」×「DX」で「組織経営の仕組み化」と「製造機能の全体最適化、ビジネスモデルの変革」を実現!
2024年5月31日 2024年版ものづくり白書(製造基盤白書)が発表されました。
この白書は、経済産業省、厚生労働省、文部科学省の3省が「ものづくり基盤技術振興基本法」に基づき毎年作成されます。
ものづくり業況などのデータ分析や課題、政府の取込や施策が、経済面、労働面、教育面から整理された資料となっています。
今年度版のメッセージとしては、
「国内投資の重要性が高まっている中、海外市場で稼ぎ連結ベースで過去最高益を更新する企業が多くあるものの、利益率は低水準となっている。」
「理由としては、グローバルビジネスに適した経営の仕組みを整えてこなかったことが挙げられる」
「DXも個別工程のカイゼンにとどまり、事業機会の拡大領域の取組が少ない等、稼ぐ力の向上に繋がっていない」
と分析しています。
よって、
「CXによる組織経営の仕組み化」と「DXによる製造機能の全体最適化、ビジネスモデルの変革」が必要であると結んでいます。
では、製造業のDXとCXとはどのような関係があり、違いがあるのでしょうか?
製造業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)については、このコラムでもいろいろ取り上げてきました。
*中堅・中小製造業におけるDXジャーニーとは?製造業の抱えるDXの問題から解決
https://www.r-pics.com/success/column/_62dx.html
*製造業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の進捗度合いは?DX推進が二極化している原因とは
https://www.r-pics.com/success/column/_82dx.html
*「木こりのジレンマ」とは?製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が阻害される理由
https://www.r-pics.com/success/column/_83dx.html
*牛の道をDX舗装するとどうなる?
https://www.r-pics.com/success/column/_85dx.html
*進み始めた「デジタル化」、進まない「トランスフォーメーション」
https://www.r-pics.com/success/column/104.htm
では、CX(コーポレートトランスフォーメーション)とは何でしょうか?
CXは、従来の階層的な組織構造を扁平化し、意思決定の迅速化や革新的なアイデアの促進を目指すことと言われています。
ここで言う「扁平」とは、平らで階層がないフラットな組織のイメージです。
例えば、製造工程の実績や進捗をリアルタイムに収集したとしても、それを受けて、次の指示を出す役割など組織が作られていない場合、効果は限定的です。そのため、従来の組織からアジャイルに活動できる組織へ変えることで効果を高めることができます。
確かに弊社が受領する提案依頼書(RFP)には、組織の変更や変革が記載されていることは殆どありません。
多くは現状の組織のまま、デジタライゼーションやデジタルトランスフォーメーションを行うことが記載されています。
要件にCXは考慮されていない印象です。
CXとDXは共に、企業の変革を促進するための手法です。
CXは、組織全体の文化、戦略、プロセス、構造の変革を意味し、DXは、デジタル技術を活用してビジネスモデルやプロセスを改革することを指します。しかし、製造業においてCXとDXは、相互に関連しています。
CXによって組織の体制が柔軟化されることで、DXの導入が容易になります。
そして、DXによって得られたデジタル化された情報やデータを活用することで、組織の変革を推進することができます。
相互に影響を与えます。2024年版ものづくり白書では、「CXによる組織経営の仕組み化」と「DXによる製造機能の全体最適化、ビジネスモデルの変革」は、「CX」×「DX」と掛け算による式で示されています。
一度、現状の組織構造を振り返ってみてはいかがでしょうか?