「2024年問題」製造業の人手不足とその対策方法は?
■製造業の人手不足対策は、IT(情報技術)の活用が不可欠
2024年景気回復局面での人手不足が益々深刻化しています。
特に、4月から残業時間の上限規制が始まる運輸業や建設業の中小企業では、経営に支障をきたし「人手不足倒産」も発生しています。 いわゆる「2024年問題」です。
帝国データバンクの「2024年問題に対する企業の意識調査」によると「マイナスの影響がある」と回答した企業は59.9%、「影響はない」企業は22.3%、「プラスの影響がある」企業は1.6%と報じています。 およそ6割の企業が影響があり、特に運輸業における物流コスト増加は、製造業では人手不足や人件費高騰などもあり、原価増大、収益減少など大きく影響を与えています。
製造業での人手不足対策は、生産ラインの見直しや自動化機械の導入などが考えられますが、それだけでは多様化するニーズには対応できません。人的対策としては、ベテラン技術者の再雇用や技能継承による生産性の維持や向上を図る必要があります。
また、業務フローやビジネスモデル変更も必要になります。
総じて、製造業の対策は、IT(情報技術)の活用無しには考えられず、デジタルトランスフォーメーション(DX)は、そのような外部環境の変化への対応を示しています。 新たな生産ラインへの指示や自動化機械の制御には、ITが不可欠です。 技能承継も技を真似るや盗む子弟関係ではなく、暗黙知を形式化する上でITを利用することにより、効果的に継承ができます。 当然、新たなビジネスモデルへのためのITシステムの導入や、多様なITクラウドサービスの利用も考えられます。
さて、IT分野では、昨年から話題となっている、生成AIが急速に進化しており、開発競争やその利用が拡大しています。人手不足や人件費高騰による収益圧迫に対し、工場の生産性向上等の対策で、この生成AIは活用できるのでしょうか?
"対話型AIは製造業でどのように活用できるのか?"
▶ https://www.r-pics.com/success/column/post_103.html
スムーズな技能承継 生成AIは、製造業における暗黙知やノウハウを整理し言語化することができます。これにより、技術の継承や品質の向上に貢献できる可能性があり、人手不足の解消や品質の維持・向上に貢献できます。
特に、日本の伝統的なものづくりの技術やナレッジなどでは効果を発揮すると思われます。改善改良(DX)の優先順位 生成AIは大量のデータ分析に効果を発揮します。実際、以下の通り、実施したことがあります。
ある中堅の製造業で、各部門の問題点や課題を挙げ、その改善や実現時の予想効果の1000件以上のデータを受領しました。 部門毎の個別最適と工場全体の最適の整理に苦慮していましたが、これを生成AIで分析し、優先順位を予測させました。 人手作業であれば、1週間以上はかかるもののが、たった数分で分析をしてくれます。もちろん、その結果の精査は必要ですが、これにより人手不足を解消する改善部門の優先順位が早く検討できます。アイデアの創出 独自の技術やノウハウを活かし、新しい価値を提供することもできます。 独自AIを利用して飲料の新しいレシピを開発しました会社もありました。
生成AIは、製造業において多くの可能性を秘めています。
しかし、導入にはデータの量と質の確保や活用方法の課題が当然あります。
一方、生産性向上は、人手不足とは関係なく、製造業としての本来の課題ですから、生成AIの利活用に関わらず、常に考えておく事は言うまでもありません。