生産管理システムのセキュリティ対策
■生産管理システム更新における重要なセキュリティ対策のポイント
生産管理システム更新の引き合いが増えています。一方、その理由にセキュリティ対策が少ないようです。
製造業の取り巻く環境は、為替変動や部材、エネルギー費の高騰、人材不足など変化し、その不確実性が高まっています。
そのような環境下、システム更新理由には以下が多く挙げられます。
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1.保守契約・サポートの期限終了
2.システムの複雑化・属人化により、保守性の低下
3.機能不足による事業拡大対応が困難
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経済産業省が示した「2025年の壁」では老朽化や複雑化した基幹システムに警鐘を鳴らし、AIやクラウドサービスなどを活用した基幹システムに刷新(再構築)行う必要性を示しています。 老朽化したシステムや複雑化したシステムでの課題のひとつにセキュリティの脆弱性があります。
一方、システム更新の理由に「セキュリティ対策」が挙げられる事は少なく、既存システムの脆弱性など喫緊の課題が、更新の理由に挙がる事は多くありません。
別途インフラで対策をとっているのかも知れませんが、話を聞いてみると「セキュリティの問題は把握していない」や「当然、新システムで対応する」など課題の認識が無かったり、漠然としているユーザーもいます。
生産管理システム更新は時間がかかります。
そのため、既存システムの脆弱性で緊急を要するものは、その対策を行い、並行して自社のセキュリティ対策やポリシーを今一度見直し、新システムで考慮する事も必要です。
ポイントとしては以下があります。
1. アクセス制御と権限管理 生産システムへのアクセスを適切に制御し、ユーザーに必要な権限だけを与えることが重要です。
最小権限の原則に基づいて、必要な情報へのアクセスだけを許可し、それ以上の権限を持たないようにします。
不正アクセスを防止するために、適切な認証や二要素認証を導入することも検討します。
2. システムの脆弱性管理 常にシステムを最新のセキュリティパッチやアップデートで管理することが重要です。
脆弱性管理を怠ると、攻撃者が既知の脆弱性を悪用してシステムに侵入する可能性が高まります。
3. モニタリングとログ管理 システムのアクセスログやイベントログを適切にモニタリングし管理することで、
不正なアクティビティを早期に検知し、対応できます。
セキュリティインシデントが発生した場合には、原因の特定や被害の範囲を把握するために重要な手段となります。
4. 社内教育とセキュリティ意識の向上 従業員に対してセキュリティ意識を高める教育、トレーニングを行うことが重要です。
フィッシング攻撃やソーシャルエンジニアリングなどの手法を防ぐために、社内のセキュリティポリシーやベストプラクティスについての理解を促進する必要があります。
5.脆弱性評価とペネトレーションテスト システム環境は継続的に変化しており、新たな脆弱性が発見される可能性があります。
定期的にセキュリティ専門家による脆弱性評価やペネトレーションテストを実施することで、システムのセキュリティ強化が可能です。
*ペネトレーションテスト:セキュリティ専門家が侵入者の視点から、システムやネットワークに対して実際に攻撃を模倣するテスト
もちろん、これ以外にインフラの基本的なセキュリティ設定は当然必要です。
これらのセキュリティ対策は製造業の基幹である生産管理システムにおいて重要な要素であり、 総合的なセキュリティ戦略の一部として取り組むことが必要です。