製造業と「AI」 熟練工の仕事は代替可能になる?

●製造業で進む「AI」技術の利活用

昨年末、我が家にやって来た「AIスピーカー」。
音楽を聴く以外に、朝の挨拶から備忘録、最近はテレビやLEDライトまで、「音声」でコントロールできるようにし、すっかり我が家の一員になっています。
ただ、「それAIじゃなくて、ただの音声認識じゃない?」と言われ、いやいや「ここの技術は音声認識、だがここはAI的技術」と不明瞭な回答でごまかしています。

明確に「AI」を説明できない私ですが、皆様もご周知の通り、「AI」は着々と世の中に浸透しているようです。今後「AI」はものづくり現場にどのように浸透してくるのでしょうか? 例えばものづくり現場の知識や経験を、熟練工が如く「AI」が処理してくれるのでしょうか?

一般的に言われる「AI」の機能であるディープラーニングは、ネットで調べると以下の記載がありました。

コンピューターによる機械学習で、人間の脳神経回路を模したニューラルネットワークを多層的にすることで、コンピューター自らがデータに含まれる潜在的な特徴をとらえ、より正確で効率的な判断を実現させる技術や手法」(デジタル大辞泉)

また「機械学習」について同様にデジタル大辞泉では、「コンピューターやロボットなどの機械に自動的に概念や行動プログラムを学習させる研究分野」「人間が直接知識を与える方法にまさる学習手段は開発されていない」と記載されています。

どうやらAIは「放っておいても自ら育つシステム」ではないようです。現場の熟練工のように経験や体験を与えなければ、「正確で効率的な判断を行う」「役に立つAI」には育たないのです。

熟練工をついでにネットで調べると、
「経験を積み、熟練した技能をもっている作業労働者」(大辞林)
とあります。

私の熟練工のイメージは、ヘラ絞り、きさげ加工、肉盛溶接など、高度で精緻な加工を行うベテラン技術者。正確で正しい「データや情報」をアウトプットをするのではなく、切り屑、形状が変化してい様をイメージしてしまいます。
ですから、課題はインプットする質の良い「経験や体験」のデータがあり、それらが「動作」(ロボット等)へ変化できる事といえると思います。

質が良いだけでなく、データの量も関係してます。しかし、一般的に熟練工の経験は暗黙知として蓄積され、継承されているので、形式知化するのはとても難しいです。人間は質の良いもの悪いもの、少量データでも、技能化していけるように思います。


ですから今回のテーマ「AIは熟練工の仕事を代替してくれるのか?」の答えは、今日現在「代替は難しい」と結論づけられると考えます。(私見)


AIは熟練工の仕事を代替してくれるのか?

では、AIはまったく熟練工の代替にはならないのか? そして未来永劫できないのか?と言うと、それは現時点ではまだ判りません。例えば、以下のような製造現場の「AI」を利用したAIベンチャー企業のサービスを見つけました。

「人工知能を活用した製造現場の生産効率改善サービス」

  • 自動検品
    良品/不良品データをディープラーニングで学習することで、不良品の自動検知が可能
  • 異常予測
    機械の稼働データを読み解いて、異常発生をリアルタイムの察知。故障やトラブルを未然に防ぐ
  • 危険検知
    操縦機器の動画データ等から、AIが危険と検知。危機回避行動も機械が自動で行う。
  • 商品仕分け
    画像とラベルデータを学習することで、商品の判別が可能に。選別・仕分け作業を自動化

このような具体的なサービスが登場してきています。もちろん、上述のように「質の良い」「多くの」データが必要なのは言うまでもありません。
今後もこれまで想像もしなかった技術が、ものづくり現場の浸透してくるのは確かなようです。

さて、本コラムも今回が48回目。丸4年となりました。
本コラムでは特にテーマを決めず、時事的内容やものづくり現場に関連したキーワードなどお役立ち情報を徒然に書いて来ました。皆様に有益な情報をお届け出来るようがんばりますので、引き続きご愛読のほど宜しくお願いします。(目指せ100回!)


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