「特定技能外国人」とは?製造業の人材不足は解消できる?

出入国在留管理庁は、「今年6月、長崎県の入管施設でナイジェリア人の男性が死亡したのは、ハンガーストライキが原因である」とする調査結果を公表しました。
収容者がハンガーストライキで死亡するのは初めてだそうです。

海外からのインバウンド増大や国際化が進展する中、なぜこの様な事が起こったのか議論もあり真相は判りませんが、悲しい事件です。

時を同じく、出入国在留管理庁から外国人材受入状況のニュースが発信されました。
外国人材の受け入れを拡大する「特定技能」制度が始まったのは2019年4月1日。
政府は、介護や建設などの新たな在留資格を含め、今年度1年間に最大で4万7千人余りの受け入れを見込んでいました。
しかし、ちょうど半年経った10月現在、新たな在留資格の「特定技能」を取得したのは、なんと300人であったとの事です。

日本は移民政策を行っていないため、週28時間以内のアルバイトや技能実習などを除き、原則として外国人の単純労働を禁止しています。
そのため政府は、製造業3業種を含む14業種で「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」と認められる業務に従事する人に就労資格を与え、国内労働力の補強を図ろうとしています。
(建設・造船舶用工業の2業種は特定技能2号と言い、その他は特定技能1号と言います)

このうち、製造業3業種とその5年間の受入人数は、

「素形材産業」(21,500人)
「産業機械製造業」(5,250人)
「電気・電子情報関連産業」(4,700人)

となっており、非正規雇用問題など多くの課題を孕んだままでの新制度ですが、製造業での労働力強化に期待が寄せられています。

また、経済産業省は今年8月に、この製造3業種についての「分野別運用方針」を発表しています。

本制度は、日本語基礎テストまたは日本語能力試験に加え、国外5か国(ベトナム、中国、フィリピン、インドネシア、タイ)で、それぞれの現地語で学科や実技の試験を受ける事ができるものです。
ただし、現在この試験は年に1回しか開催されていません。半年経過した登録者数を考えると、合格にはかなりハードルが高いのかもしれません。

試験は19区分「鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、鉄工、工場板金、めっき、アルミニウム陽極酸化処理、仕上げ、機械検査、機械保全、電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造、プラスチック成形、塗装、溶接、工業包装」となっています。
これらは国内の製造現場にとって必要な基本的な技能、職種と言えます。

一方、すでに技能実習生として国内にいる外国人には、「特定技能」へのキャリアパスも用意され、在留資格を延長できるようになっています。
製造業であれば約50職種の技能実習2号修了者の人は一定の水準で新試験を免除できるものです。

しかしながら、技能実習生の製造現場での加工機械に絡む死亡事故が多く発生しています。
ですから、特定技能へのキャリアパスを単なる在留期間延長と捉えず、「安全で働きやすい現場環境」を担保するためにスキルを取得すると捉える事も大事だと思います。

もちろん、特定技能者を受入する企業側の対応も大事です。雇用企業では、所定の待遇や法令遵守が求められます。
たとえば、日本人と同等以上の給与や希望があった場合の休暇取得許可、雇用契約終了時の帰国費用の支弁などです。

政府は、特定技能者増大のため、外国人材が相談できる多言語対応窓口を設置したり、受入れ機関を対象にセミナーや研修を開催し、巡回指導や労務管理、生活指導といった受入れ機関に必要となるノウハウを業界団体等に幅広く共有・展開し支援する方針をだしています。

製造業における人材不足の対応は、特定技能者の活用以外、非正規雇用の正社員化、中途採用やベテラン技能者の雇用延長などもあります。

日経新聞によると、今期、製造業の中途採用計画数は大きく伸び、特に電機は昨年に比べ約33%と大幅に採用計画を増やしているとの事です。
理由としては、人口知能(AI)の開発技術者やITエンジニア人材などの即戦力不足があるようです。
企業が求める高度で特異な人材と特定技能者などの製造現場への直接労働力とでは、スキルギャップが大きく、人材確保の課題も違ってきます。
そのため、海外の優秀な人材を直接雇用したり、業界内の人材の流動性が高まり転職が増加するなど、その他の人材不足解消の流れも今後大きく加速するのでないかと思います。

もちろん、労働力を補完できても、できなくとも、ITや生産管理システムの利活用による効率的な製造業務運用は、製造業の「働き方改革」「デジタルトランスフォーメーション」を実現できる有用な手段であり、生産性を維持・拡大するために必須である事に変わりはありません。


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