生産管理システムの投資に踏み切れない理由は?経営者視点の判断基準
製造業の景気はまだ拡大、継続している感がありますが、皆さまの会社ではどうでしょうか?
業界によっては、一服感や下降傾向など違いが出てきているかもしれません。
しかし、製造業全般では総じて「しばらくは好景気は継続する」のような印象をうけます。
このような状況において、製造業の設備投資、システム投資に対してどのように判断をされるのでしょうか?
例えば、中小企業白書では、ITの導入・利用を進める上での課題アンケート結果上位5つは以下となっています。
1位 「コストが負担できない」
2位 「導入の効果が分からない、評価ができない」
3位 「従業員がITを使いこなせない」
4位 「業務内容に合ったIT技術や製品がない」
5位 「IT導入の旗振り役が務まるような人材がいない」
経営者視点での投資は、自社や業界の状況、その他ステークホルダーなど様々なファクターに基づき判断されると思います。
・折角の好景気。機会損失を避け、上昇気流に乗りたい
・しっかり投資し、収益拡大を図りたい
など、プラス思考もあれば、逆に、
・この先の景気は減速しないか?大丈夫か?
・収益拡大をしたいが、過度な設備投資は出来るだけ控えたい
など、マイナス思考までとは言えないまでも、投資を逡巡されている経営者もいらっしゃると思います。
投資に積極的になれない理由としては、「人や設備など、一度雇用したり、購入・設置すれば、その投資効果を得るまで、 固定費的負担がかかり、過剰人員、過剰設備または遊休設備になる懸念」などがあげられます。
工場の設備、人の増強による投資は「直接、生産量を増加」させる事が主な目的と言えます。
これに対し、「生産管理システム」などのIT投資の主な目的は、既存の設備や人、業務に対し、非効率業務の排除や生産性向上を狙う事が多いと思います。
もちろん、新規事業や事業拡大など、積極的なIT利用が目的であったり、IT前提のビジネスモデルによる効果と目的もあると思います。
「非効率業務の排除や生産性向上」は、人や設備を追加せずに、効率化に対する投資です。
製造業であれば、生産性は稼働率、リードタイム、材料費など「原価低減」にインパクトを与えます。
つまり、前述の一般的な設備投資と違い、
「受注や生産量の低下においてもその効果」が得られると言えます。
生産管理システムの投資効果は、変動費率を下げ(限界利益率を向上)ますので、景気動向、特に景気の下降面に対しても、強いものづくり体質が作れると思います。
別の意味では、「折角、設備や人に投資したとしても、生産性を維持、向上させる生産管理システムやその他人を活用する仕組みが無ければ、その投資効果も一時的なものになる」と言えると思います。