「中堅中小製造業」と「ものづくりベンチャー」はどのように連携されるのか?

以前、工場見学などのイベントを企画し、東京墨田区にある精密板金加工で有名な中小製造業様を訪問しました。
この会社は従業員50名ほどで、月間1000種類以上の多品種少量のものづくり体制が特長です。その生産管理の仕組みを自社で構築し業績を伸ばしています。

また、産学連携なども多く、深海探査艇「江戸っ子1号」や電気自動車「HOKUSAI」の開発へも参画されています。
経産省や各種団体の表彰も多く、講演やテレビ等メディアでの露出も多数あり、このプロフィールを聞くだけで、社名をご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
また、弊社へ生産管理システムの構築依頼を頂いた九州の中小製造業様は、自社の加工機械を世界15ケ国の販売代理店で展開するグルーバルニッチな優良企業です。
このお客様も本業の技術力を活かし、小型宇宙衛星へのプロジェクトに参画し、昨年見事に成功されています。

このような優良中小製造業様の共通の特長を考える時、「露出」「連携」等のワードを想起します。
単体では人材や資金やノウハウに限りがあるため、多種多様な外部の団体や会社などと、人、技術、情報の「つながり」を大事にし、その中からビジネスを展開し、業績を伸ばしているからです。
このような会社の文化は、昨今の「スマート工場」などのITを利用した、ものづくり連携の前提条件であり、重視する必要があると思います。
さて、今回はそのような事例のひとつ「ものづくりベンチャー」との連携をご紹介します。

情報源は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が、2018年3月末に公表した、「ものづくりベンチャーと中小製造業の連携に関する調査研究」の報告書です。本報告書で、ものづくりベンチャーは、「これまで世の中に無かった新しいプロダクトを作る」や、「短期間での大きな成長を志向する」など、これまでの中小製造業の連携先・取引先とは大きく異なる性質を持っており、こうした企業との連携が中小製造業にとって、新しいチャンスかもしれない。・・としています。
たとえば、「ひとり家電メーカー」と呼ばれ、個人で起業、アイデアやデザインで製品を設計、製造、販売するようなベンチャーです。
最近では「クラウドファンディング」と称し、Netを利用した開発資金を集める方式で、このような斬新な製品に多額の資金が集まり、商品化されます。

本報告書のメッセージを私なりに理解し簡単にまとめ記述いたします。

1.なぜ連携が必要か?
生産管理コラム 第47回「製造業の「モノからコト」へのシフトとは?」でも述べましたが、ものづくりの付加価値が、設計や保守サービスなどへ移行してきているバスタブ曲線(スマイルカーブ)になってきています。
つまり、高付加価値の領域に強みを持つ、ものづくりベンチャーと連携する事で、ものづくりの上流や下流の高付付加価値部分の補完、およびベンチャーにとっては、製造、組立などの委託など、互いにシナジーを発揮できるため、連携が大事だという事です。


2.連携の課題は?
仕様決めや設計などの「上流工程」をサポートできない点が挙げられています。
「内容・仕様が十分に練られていなかった」や「異なる価値観や考えかたを持っており、コミュニケーションに苦慮した」ことがアンケートなどから明らかになっています。
中小製造業の多くは、仕様や図面が既に決まっているものを早く正確に作るという、「下請的」な事業のあり方に慣れているためのようです。
一方で、ものづくりベンチャーは、製品開発や量産の経験が浅く、仕様を決めたり図面に落とし込むことが難しい場合も多いため、両者の間でギャップが生じやすい。と記載されています。
冒頭に記載した工場見学した会社や弊社の生産管理のお客様も、「待ち」スタイルでは無く、連携先の特性や互いのビジネスモデルを理解しながら、協業を進められており、課題達成されています。このような互いの価値観の共有がなければ、WinWinの関係にはなりません。

経済産業省は、「ものづくり」を手がけるベンチャー企業の製品試作を支援するネットワーク作りに乗り出しています。
製品のアイデアを持つベンチャー企業と、既存の町工場のものづくり技術を結びつける拠点「スタートアップファクトリー」を民間施設の中から選定し、2018年度から設備導入補助や人材育成支援を実施する。ベンチャー企業が、市販レベルの製品を試作する段階で事業に行き詰まる「量産化の壁」を解消する狙いのようです。

弊社生産管理のパッケージも、サイボウズ社Kintone(クラウド型のビジネスアプリ作成するツール)と連携した提案が増えています。
これは、定型業務である生産管理システムと非定型業務とまではいかない業務(IT化できる非定型業務)として連携解決している提案です。
このように、業務アプリも色々な外部アプリや他システムと連携を図るための、外部の団体や企業との連携が図っていかなければと思います。


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