「無資格検査問題」現場力低下の指摘は正しいのか?

2017年11月17日の日産自動車の記者会見、無資格検査問題に関する調査報告書は、規範意識が欠落したり、ずさんな組織体制であった内容となっていました。
報告書では、国内工場5カ所で資格を持たない従業員が完成検査を行う法令違反は、1990年代から常態化していた事が明らかにされました。
日産の上記問題発覚後、その他製造業大手でのデータ改ざんや無資格検査などの逸脱行為が相次いで発覚、発表され、「日本の製造業は大丈夫か?」などの記事や厳しい論調が今でも続いています。

時を同じく、2017年度デミング賞の受賞企業が発表されました。
ご存知の通り、デミング賞はアメリカにおける統計的品質管理創始者の1人である故デミング博士の名前からきています。
博士の品質管理の手法などの伝授や指導は、1950年以降、直接、間接的に日本のものづくりの発展に与えた影響ははかり知れないと言われています。
デミング賞に挑戦されている組織は、自社の経営環境と時代が要求する品質管理を考え、そして仕組みを作り、実践されています。
デミング博士は60年以上前に、「品質を確保するには、顧客との垣根を取り払う事だ」と言われました。
製造業大手のこれらの問題は、自ら垣根を作り、見えない管理、見せない管理をしていたのかな?と思いました。
そして、皮肉にも、上記2つの出来事はものづくり企業の品質に関する考え方や規範を見直す機会を与えた事になれば良いのでは思います。

先の無資格者検査問題について、「ものづくり経営学」の一人者である東京大学藤本隆宏教授は、「これら逸脱行為の因果構造は複雑である」と分析されています。
問題に至った長期的な因果関係を徹底的に調査する必要があり、これによって「現場力が低下した」と考えるのは早計であるとの意見です。
私も同じ考えで、自動車の組立ラインなど現場を見てきた者としては、「品質が落ちたな」とか「怖くて自動車買えない」とは、短絡的な考えにはなりませんでした。

また、藤本教授は、これら抜本的対策は以下であると指摘されています。

1.逸脱行為における不良や事故調査を公表し不安や不信の軽減を図る。
2.安全に責任を持つ企業は、自社に逸脱行為が無いか再点検をすべき。
3.品質影響調査や誠実な方向対応などの危機管理体制を構築する
4.顧客や監督官庁の過剰仕様見直しや規制緩和の見直しの可能性を探る。
5.言論界は、因果関係の複雑性を踏まえ、正確に分析し報道すべき。

さて、デミング博士が存命であれば、この日本のものづくり品質状況について、どのようなコメントを寄せたか? 思いをはせた11月でした。


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