PMQIR(業務改革方法論)とは?低い労働生産性を改善するためには
IoT、ビックデータ、AIなどキーワードが飛び交うIT業界。製造業では、これらを利用した「つながる工場」など、私の周りでは話題は豊富、枚挙に暇がないです。
一方、「働き方改革実現会議」のテーマとして「賃金引き上げと労働生産性の向上」が取り上げられるほど、いま日本の「低い労働生産性」が話題になっています。
日本生産性本部が毎年発表する「労働生産性の国際比較」2016年度でも相変わらずの低いランキング。OECD(経済協力開発機構)加盟諸国中18位のようです。
ものづくり現場のITに携わる者として、日々現場の改善など「ムダ」の排除に努力している人達と接していると、何か腑に落ちない、スッキリしない気持ですね。
この指標は、各国の物価を考慮したGDPを就業者数で除して 求めてあります。計算方法やそこに含まれるデータなど異論もあるようですが、どうも、ものづくり現場とは違う、ホワイトカラーなど事務方業務の生産性が影響を与えているのは確かなようです。
さて、今月のキーワード「PMQIR」はこのような、価値を生んでいない業務分類を示す頭文字です。意味は以下となります。
P: 準備(Preparation)
作業をおこなうための段取り、他の業務のための資料作成などの準備作業です。
・・・現場では段取り時間の削減ですが、机に座っている時はあまり意識せず作業を行っていませんか?
M: 移動(Move)
特に人の移動を指します。
・・・現場では作業分析、工程分析など移動を含む改善を行いますが、事務所ではどうでしょうか?
Q: 作業待ち(Queue)
作業待ち、作業をしていない状態、処理待ち時間です。・・・現場では手待ちが発生しなく、生産計画、差し立て計画を立てますが、メール待ちや折り返し電話待ちなどありますよね。
I: 検査(Inspection)
検査、承認、承認のための事後検査確認作業、レビューを指します。
・・・現場では工程が定義され普通に行っていますが、事務所では他部門との調整や上長不在で承認もらいないって良くありますよね。
R: 作業の重複(Redundant)
同様の重複作業、やり直し作業、冗長、作業の重複などです。
・・・現場では5Sにはじまる改善は定番です。
生産管理コラム 第1回 「改善の4原則 ECRS って何ですか?もまさにそれです。事務作業も必要な考えですね。
このように、ものづくり現場では普通に行われている事が、事務方では課題になる事が多い気がします。
「PMQIR」にはさらに「C」と「B」を足して、「PMQIRCB」として使われる場合があります。「C」と「B」は付加価値に着目しています。
C:顧客付加価値(Customer Value Added)
その業務の提供を受ける顧客から見て、その業務処理費用を負担してでも、その業務を遂行してほしいか?という視点。
B:事業付加価値(Business Value Added)
法規制や社会責任上、その業務遂行が必須の業務かどうか?という視点。
このような視点から、自社を含むサプライチェーン全体で、そして日本全体で、生産性が向上するとランキングがあがるかもしれません。