グローバルニッチトップとは?定義について解説
グローバルニッチトップとはなんでしょう?
グローバル(global)は、通常、世界的な規模とか、包括的とか訳されていると思います。 globalがglobe(地球)から派生してできていることを考えると、全地球的というイメージだと思います。ただ、国際化などで使用するInternationalとは区別したほうがよさそうです。
一般的に、製造業における国際化(Internationalization)は、海外に 工場や拠点をもっていたり、海外の企業に投資することを言いますが、グローバル化(Globalization)は、市場として期待される場所に工場を置いて、その国の文化に合った地域密着のものづくりのことを言います。
ニッチ(niche)は、ニッチマーケットやニッチビジネスなどで使われて いるように「隙間」という意味になり、グローバルニッチは「世界市場における隙間市場・分野」という意味になります。
グルーバルニッチトップ(GNT)は、それらのトップ企業、つまり、「隙間市場で占有率が高い企業」という意味になります。
経済産業省では、
「昨今の産業構造の変化や、求められるニーズの変化に迅速に対応するため、大企業や主要業界団体だけでなく、ニッチ分野において高い世界シェアを有し、優れた経営を行っている中堅・中小企業との関係を強化していくことが求めれている」としています。
また、それら企業を、より広く紹介する仕組みとして、GNT100社を選定・公開し、資金面や貸付面での支援も行っています。
確かに、国内の工場にお邪魔しても、その会社がグローバルにシェアを確保して、活躍している会社という事は直ぐには判りません。
GNT100は、製造業を中心として、特長をもった企業が紹介されており参考になります。
また、中堅・中小の製造業が圧倒的に多いという事も特長的です。
なお、経産省の定義としてGNTは、中堅・中小では10%以上の世界シェアを持っている事となっていますが、あくまで選定上の基準です。
これらに加え、より多くの企業、より多くの国に供給しているかの観点から、そのための、「独創性と自立性」があるか。他業者参入のために、製品を強化しているかどうかの「リスク対応」もGNTの特長としてみています。
皆さんも、このような「小粒でもピリりと・・」とした経営堅調な中堅・中小の会社のお話を一度はお聞きなった事があるのではないでしょうか。
GNTの活躍する中堅・中小企業の多くは、それ自体が経営目標であり、能動的に海外需要をとりにいく、トップの強いリーダーシップが必要です。「たまたま」とか「知らない間に」世界シェアをとったわけでは無いということです。
グローバルに展開するには、技術面だけでは解決できない、資金面、 人材面、法律やリスク面の対応が必要ですから、能動的にならざる得ないわけです。
また、このような企業の特性として、ビジネスモデルの変革に対する対応が違う点も挙げるべきです。
2016年版「ものづくり白書」でも、世界で起こる既存の産業構造が 大きく変わるようなイノベーションの破壊(参考:生産管理コラム【第24回 「2016年度の製造業はどうなる? ウーバライゼーション」)に対し、日本のものづくりの技術を活かした、ビジネスモデルの変革が必要であり、グローバルを意識した経営者が、それらに対応できる点を挙げています。
大企業に比べ、経営資源が乏しい中堅・中小企業が、積極的にグローバル展開を図る時、これら変革へ機敏に反応できるように意識をもっていた方がよさそうです。