システム稼働の鍵は現場での勉強会にあり! 運用を定着させるその秘訣とは??

株式会社筑水キャニコム

従業員数:201~500名/業種:輸送用機械器具/導入製品:R-PiCS V3

 

株式会社筑水キャニコム

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左から財務・ICT line総合システム部 丸木崇太郎氏
財務・ICT line総合システム部長  井上東洋 氏
財務・ICT line総合システム部 チーム長  古賀 優輝氏
財務・ICT line総合システム部  唐川 菜美氏

会社プロフィール

会社名 株式会社筑水キャニコム
所在地 本社・工場
〒839-1396 福岡県うきは市吉井町福益90-1
設立 1948年1月29日
売上高 60.6億円 2017年12月期
従業員数 233名
事業内容 業務用車両製造業
URL http://www.canycom.jp/

株式会社筑水キャニコムは福岡県うきは市に居を構える農業用・土木建設用・林業用運搬車・草刈作業車のメーカーだ。

『草刈り機 MASAO』や『代表取締役社長 芝耕作』などユニークなネーミングの製品開発を続けており、世界初の製品を開発することをモットーに、日々ものづくりに従事している。

■システム刷新のきっかけは老朽化と旧態依然からの脱出

当時の筑水キャニコムには、生産管理システムを刷新しなければならない理由が2つあった。一つは旧来のシステムがクライアント・サーバー型で動いており、クライアントのOSが更新できずに仮想環境で動かしていたこと。もう一つが在庫の精度が低く、生産計画を変更すると正しく追従ができないため、その修正に大きな作業負荷がかかってしまっていたことだ。当時のシステム移行について、財務・ICT line総合システム部長 井上東洋 氏は次のように語る。
「当時のシステムリプレースプロジェクトでは、旧来システムの焼き直しを提案してきたベンダーで一度社内では話が決まりかけました。ですが、今のシステムをそのまま焼き直したのでは、業務改善につながらずに意味がないと感じていました。私はプロジェクトの途中から参画したのですが、一度決まったプロジェクトを検討し直すことにしました。
なぜならば従来のシステムは、計画が変わると正しいデータに追従できず、変更後の計画に修正するのに大変手間のかかるシステムでした。そこが課題と感じていたので変えたかったのです。
ですが現場部門からは大きく変えなくても良いという意見も根強くありました。しかし、そこを改善しなければ意味がないと考えていましたので、プロジェクトを仕切り直すことにしたのです」

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<財務・ICT line総合システム部長 井上東洋 氏>

■一度は決まりかけたプロジェクトをひっくり返してR-PiCSを選定 その理由は?

最初の移行プロジェクトでは、工場側の要件をくまなく取り入れた業者を選定することになった。だが、要求に対して見積もりの精度に不安があったため、井上氏主導で要件ヒアリングのフェーズと導入のフェーズを分けることにした。

「最初に選定したベンダーは現場の要件を言われるままに機能化していったため、案の定最初の要件ヒアリングのフェーズで大きく費用が膨らみました。
そうではなく、工場側に違うところを違うと指摘できるとコミュニケーションが取れるのが、提案中のベンダーだとクボタシステムズ様しかいませんでした。例えば現場に改善ポイントを指摘するとしても、変化を嫌う人にはなかなか話を聞いてもらえないこともあります。そこを上手く解きほぐして、現場に話を聞いてもらえる雰囲気を作るのがとても上手かったが強く印象に残っていました。このベンダーだったら既存のやり方を変えてもらえる期待があったのです。
当時3社で比較検討しており、システム部としてはクボタシステムズ様が提案するR-PiCSで考えていましたが、現場が支持したのは他2つの提案でした。ただ、一つは現状の焼き直しでハードウェアの刷新以外はほとんど変わらない提案、もう一つは現場の意見を聞きすぎて予算が大幅に膨らみそうなので、危機感を感じていました。
結局、当初は現場の意見を一番取り入れた業者を選定することになったのですが、案の定要件ヒアリングフェーズで予算を大幅に上回る見積もりが提示され、再検討することになりました。そこで白羽の矢が立ったのが、柔軟な運用で計画変更にも対応できそうなクボタシステムズ様が提案するR-PiCSだったのです」

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<導入当時のシステム立ち上げスケジュール>

■パッケージからパッケージの移行 導入当時の苦労話

結果、クボタシステムズが提案するR-PiCSの導入が決まったが、最初のデータ移行が大きな難関だった。旧システムとR-PiCSでデータの持ち方が違うため、移行データを作成するのに苦労することになった。単純にCSVファイルで取り込めばいいという問題ではなかったので、結局、システム部が移行用のプログラムを作成することになった。当時の苦労を総合システム部の丸木氏は次のように語ってくれた。
「特に苦労したのが、旧システム側の仕様を知っている人がいなかったので、データ構造を理解するのに相当苦労しました。旧システムはとっくに保守が切れていたのでメーカーに問い合わせるわけにも行かず、自分たちでどのデータが注残に該当し、それのどこが残でどこが注なのか、一つ一つを紐解いて行くことになりました。
その後、クボタシステムズ様とも一緒になって品番のもたせ方を決めて、マスタ移行のプログラムを作ることでなんとかデータの移行を実現することができたのです。
それ以外でも苦労したのが、旧システムのドキュメントがなく、当時の運用で説明するしかありませんでした。当然ですがR-PiCSとはメニューのアプローチ方法も異なるので、新しくどのように変わるのかを伝えるのがとても大変でした。こうした苦労にもシステム導入経験が豊富なクボタシステムズ様だからこそ、一緒に乗り越える事ができたのだと思っています」

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<財務・ICT line総合システム部 丸木 崇太郎氏>

■R-PiCS導入後、運用のギャップを埋めたのは勉強会だった

色々な苦労を乗り越えてR-PiCSを本稼働まで漕ぎ着けることができた。しかし、入れた直後はすべての業務がどのように変わるかを把握できていなかったので、想定外の事態もあったという。当時の状況を井上氏は次のように振り返った。
「入れた当初はてんやわんやでした。日々システム部側で火消しの対応を行っていたのですが、現場での運用が思ったように進まず、改善が後手後手に回ってしまっていました。ただ、システムのリプレースは概ねそういうものだという認識があったので、ある程度落ち着いて対応することができていたと思います」
程なく導入効果が出始めることになったが、減るはずの在庫が何故か増えてしまっていた。当時原因究明に苦労した丸木氏は当時をこう振り返る。
「最初はシステム上の在庫が増えてしまっていました。よくよく調べてみると旧システムとR-PiCSで完成時のタイミングが異なるので、従来のままの考え方で在庫を管理する部門が出てきたためデータが増えて見えていたのです。こうした運用のギャップを一つずつ潰して行ったのですが、しばらくすると今度は、整備したマスタと追加していったマスタでばらつきが出てくるようになりました。こちらについてもシステム在庫と現物が合うように、ものの置き方を管理するなど繰り返し勉強会を開催しました。こうした勉強会を隔週で定期的に開催することで、運用を定着させることができたのだと考えています」
勉強会の内容は、より具体的なものに落とし込んだので、理解がしやすかったと語るのは、総合システム部の唐川氏だ。
「勉強会を始めたきっかけは、現場からの声でした。システムに対する理解度が足りないことからやってみようという話になりました。開催期間は隔週で、一回あたり業務時間内に1時間程度。関係部署は全員参加です。
テーマはその都度講師が考えてきて、例えば基本的なマスタの持ち方、旧システムの違いなどです。勉強会の中でもこういう事象が起きた場合はこのように運用すれば解決できる、等、実例を挙げながら説明していったので、参加メンバーの習熟度もどんどん上がっていきました」

■R-PiCS導入の効果と今後の展望

最後に導入の効果と今後のシステムのあり方について、総合システム部 チーム長の古賀氏はこう話してくれた。
「R-PiCSを導入した結果、効果が出たのは次の3点です。まず1つ目は、原価の把握がシステム上で出来るようになりました。以前は、新機種の企画段階の原価で利益率等を出していたのですが、R-PiCSになってからは、都度積み上げの原価が計算されるため、原価の精度が上がりました。
2つ目はピッキングリストの運用が可能になったことです。以前は、「品揃え票」と呼ばれる書式で材料ピッキングを行っていたことで、設計変更の反映が遅かったのですが、R-PiCSのピッキングリストではリアルタイムに修正が反映されるので、作業効率が上がりました。
最後に期間単価のマスタ運用ができるようになったことです。R-PiCSには期間単価マスタ機能があるので、一時的な仕入金額の変更に柔軟に対応できるようになりました。
今後の展望につきましては、社内ではR-PiCSのデータを使って外部プログラムなどを作っていたりするのですが、R-PiCSとACCESSで独立している部分があるので、そこを連携させたいと考えています。
また、BOMとの連携も考えています。しかし、これをシステムだけでシームレスにやり取りするのは限界があるので、人と役割でどうするかを考えないとうまくいかないと考えています。現在調査中ですが、これをしっかりやるための部門が必要になるでしょう」

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<『草刈り機 MASAO』>

■R-PiCS構築を担当したクボタシステムズ様コメント

筑水キャニコム様の現場の方々は、拘りが強かったですね。この拘りが、モノづくりに活かされていることが、ひしひしと感じられました。
ただ、管理と言う面ではこの拘りが変化を阻害することもあるため、一般的な管理手法や他社の事例を説明することで、現場の方々と議論を重ねました。
双方ともかなり強い口調でやり取りした記憶があり、現場の方々からすると、「口煩い」「不愉快」と感じられた場面も多くあったと思います。
それでも、会社を良くするためにはどうすれば良いかと言う観点で、真剣な議論が出来たと思います。
最初に筑水キャニコム様から競合他社に決まったと連絡を受けた時は、正直ショックでしたが、何故か提案した達成感を感じてしまいました。営業としては失格ですが・・・。
その後、事例に記載がありますように、R-PiCSを利用してのシステム構築に仕切り直しが決まり、それ以降担当させて頂いて、今に至っています。
今後も、筑水キャニコム様の発展に、システム面で寄与する所存です。

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クボタシステムズ株式会社 ( KSI )
ITソリューション事業部 ビジネスITソリューション部 藤田 崇史 氏

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